2024年 5月 3日 (金)

日銀 量的緩和を解除し、ゼロ金利は継続する

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   4年半にわたって続く日銀の量的緩和策の解除が視野に入ってきた。不良債権問題の終息化で金融不安が後退する一方、消費者物価指数(CPI)上昇率が水面下を抜け出すなど、デフレ脱却の足音が聞こえはじめたためだ。

     日銀が量的緩和解除に向けて"地ならし"へと踏み出したのは、05年10月末。景気先行きに対する日銀の中期的判断を示す「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)のなかで、05年度のCPI上昇率が8年ぶりにプラスの0.1%、06年度も同0.5%になるとの予測を公表してからだ。

量的緩和で非効率企業が延命する、との見方

日銀は量的緩和政策の解除に意欲を示す
日銀は量的緩和政策の解除に意欲を示す
 

    ゼロ金利下の量的緩和は確かに異例だ。日銀はかねて「CPI上昇率が安定的にゼロ%以上になることが金融政策の転換点の条件だ」と、繰り返し明言してきた。展望レポートは、CPIプラス反転の時期を日銀自らが明示することで、間近に迫りつつある「出口」の存在を市場にアナウンスしたことに他ならない。しかもその後発表された10月のCPI上昇率は、これまでのマイナス局面が5カ月ぶりに前年比ゼロ%に。日銀予測の正当性が裏付けられる形ともなり、福井俊彦総裁が「(CPIが安定的にプラスと)確認できれば、間違いなく越えさせて頂く」と言い切るほどに、その前傾姿勢は強まった。
    日銀が量的緩和の早期解除に意欲を示すのは、その政策効果が分からないことに加え、ここにきて副作用の「芽」が次第に膨らみつつあるからだ。確かに量的緩和には「景気底割れを防ぎ、企業が過剰設備・債務を処理する時間稼ぎになった」(金融筋)との指摘もある。しかし、それが果たして本当に「量の効果」だったのか、現時点では理論的検証すらできていない。それどころか、金利機能が作動しなくなったことで「非効率企業が延命し、資金の最適配分もなされず、市場規律の喪失につながった」との見方さえ、日銀内部には渦巻く。そうだとすれば、いまの不動産市場の活況や株高は、金利変動リスクに無頓着となり、あり余る資金が行き場を失って流れ込んだ「プチバブル」の恐れも否めないことになる。

政府・与党内には、解除慎重論が根強い

   とはいえ、前のめりの日銀とは裏腹に、政府・与党内には依然、解除慎重論が根強いのも事実だ。早期解除で長期金利が跳ね上がれば、国債利払い費の増加などで財政再建路線が破たん、結局は消費税増税などを招いて国民の信を失いかねないからだ。物価のマイナスが続いていることを論拠に、竹中平蔵総務相が「デフレ脱却の判断はCPIだけでなく総合的に行うべきだ」と反論すれば、小泉純一郎首相も「早過ぎる」と日銀を牽制する。
   だが米国や欧州が相次いで利上げへと転じるなか、日本だけが今後も緩和姿勢を続ければ日米の金利差は拡大し、行き過ぎた円安・ドル高となって米経常赤字を膨らませる。日本経済にとってもそれは、波乱要素となりかねない。
   機動的に金融政策の舵が切れるよう、とりあえずは量的緩和を解除したうえで、ゼロ金利を継続しつつ景気の行方を見極める――というのが現実的な選択肢となりそうだ。

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