エルピーダメモリ 合弁で「生産世界一」奪取計画
2006.12.14 19:22
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“量より質”戦略からの一大方針転換
エルピーダが大型の新工場建設を決めたのは、DRAM市場は世界全体で3兆円規模と堅調に推移し、07年からはさらに、大容量のDRAMを必要とする米マイクロソフトのOS(基本ソフト)「ウィンドウズビスタ」に対応するPCが、世界規模で本格的に出回るなど、今後も市場の大幅な拡大が見込めるためだ。
PC向けDRAMは汎用性が高い分、差別化が難しく、需要次第で価格が急落するリスクが大きい。この特性を踏まえ、エルピーダはこれまでPC向けDRAMは生産せず、携帯電話やデジタル家電向けの高級品に特化する”量より質”の戦略を取ってきた。このため今回の投資は、同社として「生産規模世界一」の座の奪取に向けて舵を切る一大方針転換。会見した大塚周一最高執行責任者(COO)は「DRAMは量を持たないと市場競争力を保てない。量を確保するにはパソコン向けを手がけることが不可欠だ」と説明した。
日本の電機各社は80年代後半にDRAMで世界の半導体市場を席巻。最盛期には半導体売上高の世界トップ10のうち6社を日本企業が占めた。ただ、90年代に価格競争力で韓国や台湾メーカーに敗れ相次いで撤退。NECと日立製作所の部門統合で99年に発足したエルピーダが残るのみだ。