2024年 4月 30日 (火)

日本興亜の社長辞任人事 かたくなに「引責否定」の裏事情

最大手の東京海上は事態に困惑

   損保の不払い問題での経営陣の進退では、損害保険ジャパンの平野浩志社長(当時)が会長に就く人事をいったんは発表しながら、撤回に追い込まれている。三井住友海上火災保険も金融庁の処分前に井口武雄会長と植村裕之社長の最高顧問就任を発表したが、結局は辞退に追い込まれた。ともに、引責辞任の形となったのだ。これは金融庁が損保各社の対応に不満を示したからだとの見方が強い。

   この一連の事態に困惑しているのが、最大手の東京海上日動火災の石原邦夫社長だ。今年で任期切れを迎える石原社長も引責辞任でなく、勇退を表明しようとしていた。医療保険などの「第3分野」の保険商品の不払い問題では、「(社内で)報告件数を少なめにして、石原社長を守ろうとしたのではないか」と見る向きは業界内で多い。いずれにしても、石原社長の勇退の意志は強いようだ。兼務しているNHK経営委員長の退任も当局に水面下で打診しているし、今年に入って、この動きを勘違いした関係当局の幹部が経営委員長退任を記者に漏らし、ちょっとした騒ぎになった。だが、「(引退で)日本興亜が先行したものの、(引責否定に対する)世論の反発の大きさにタイミングを見失った」とささやかれている。

   一連の損保首脳の引責辞任を否定する姿勢には、顧客を軽視してきたという反省のかけらも見えないと言えそうだ。

1 2
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中