2024年 4月 16日 (火)

舛添大臣こぶしは振り上げたものの  「時効の壁」が厚く

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   年金の保険料や給付を社会保険庁や市区町村職員が「ネコババ」していた額が3億4,000万円に上ることが判明した。舛添要一厚生労働相は2007年9月4日、記者会見で「横領したような連中は牢屋に入ってもらう」「刑事告発する」と強い姿勢を示した。しかし、着服が明らかになりながら社保庁が刑事告発をしていないというケースは「一昔前」で、告発には「時効」の壁が立ちふさがっている。

「横領したような連中は牢屋に入ってもらう」

「年金着服3億円超」を報じる新聞各紙
「年金着服3億円超」を報じる新聞各紙

   舛添厚労相は4日、閣議後の会見で年金着服問題について「横領したような連中はきちんと牢屋に入ってもらう」「もし刑事告発していなければ、今からでも告発する」と、厳しい姿勢で臨む考えを示した。

   年金着服額が明らかになったのは9月3日。総務省の「年金記録問題検証委員会」で社保庁が公表した。発表によると、社保庁が発足した1962年以降、同庁職員が年金保険料を納めようとした人からネコババしたのは22件3,400万円だった。ほかに、年金給付を不正に受け取った着服もあり、同庁職員の着服を合計すると50件1億4,197万円に上る。また、市区町村の保険料横領は49件2億77万円。同庁と地方の総額で3億4,274万円が着服されたことになる。

   こうした社保庁のデタラメぶりに、舛添厚労相の「刑事告発する」発言は「歓迎」され、マスコミ各紙が発言を取り上げた。

   しかし、今後新たに「着服職員」たちを刑事告発するのは、難しそうだ。社保庁は1998年以降、処分を公表している。98年以降は、20件の着服が発覚し、20件とも業務上横領容疑などで刑事告発した。一方、97年以前に着服したのは30件に及ぶものの、刑事告発したのはたった6件にとどまる。24件は刑事告発されていない(うち1件は、社保庁が刑事告発はしなかったが、警察が書類送検した)。新たに刑事告発するとすれば、この24件から送検済みの1件を引いた23件が対象になるが、業務上横領容疑の時効は7年。

刑事告発されていない24件はすべてが時効?

   単純に考えると、02年が境になり01年以前は「不問」ということになる。刑事告発されていない24件は1997年以前なので、すべてが時効ということになってしまう。しかもこの刑事告発されていない24件のうち、懲戒免職になったのは20件で、3件は2カ月などの停職で済んだものもある。残る1件は処分前に本人が退職し、処分できなかった。

   時効は「気にせず」刑事告発することもありうるのだろうか。J-CASTニュースの取材に対し、社保庁職員課は「大臣の指示があれば、指示に従って速やかに対応する」と答えるに止まった。「対応」が告発を意味するかどうかは明言を避けた。

   舛添厚労相は、着服した地方自治体関係者に対しても怒っている。市区町村の処分や刑事告発の実態ははっきりしていない。舛添厚労相は「泥棒したやつがぬけぬけと役場で仕事をしていいんですか」と指摘し、9月6日に増田寛也総務相と会って自治体の首長に刑事告発を促すよう求める考えも示している。

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