2024年 5月 2日 (木)

枝川二郎の「マネーの虎」
金利規制で「小口金融」が機能不全、中小企業がピンチ

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本当に必要な人にお金がまわることを考える

   では、今後規制をどのように改変すれば問題は改善するのか?

   (1)上限金利を借入期間に応じて定める。短期の場合は高めに、長期の場合は低めに設定すればかなり実体に見合ったものになると思う。あまり厳しく金利を制限するのは個人的には問題だと思うが、たとえば2週間未満では50%以下、逆に3か月以上では20%以下・・・などとすればよいのではないか(数字はあくまで仮定のものである)。

   (2)高い金利で長い期間借りたら、どれだけ金利が膨らむかについて国民にもっともっと理解させる努力をする。テレビのコマーシャルでは「返済を計画的に」などと言っているが、「計画的」などという抽象的な表現ではピンとこない。複利によって雪だるま式に返済額が増えていくようすを中等教育から、じっくり時間をかけて教える必要がある。

   命の次に大事な財産を守るためには、消費者が賢くならねばならない。ちなみに、タバコには「喫煙によって肺がんで死ぬリスクが増えます」といった文章が包装の主要な2面にそれぞれ30%以上の面積を使って表示することが義務づけられている。消費者向けの高金利の貸し出しの場合にも、似たようなウォーニングを義務づける必要があるかもしれない。

   経済の仕組みを理解せず「高金利は悪」ばかりを唱える法律家や政治家が、改正貸金業法という法律を通したおかげでおかしなことになった。この法律は「金利の負担を軽減させよう」という彼らの親心がなせるものかもしれないが、善意だからといっていい結果を生むとは限らない。

   これにより中小・零細企業の経営者が資金繰りに困り、ひいてはマクロ経済にも悪影響を与えている。われわれは本当にお金が必要な人たちに、いかにお金をまわせるようにできるか、をまず考えるべきである。


++ 枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして勤務。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。


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