2024年 5月 3日 (金)

デジカメ、楽器から健康チェックまで登場 携帯電話はどこまで進化するのか
携帯電話研究家・木暮祐一さんに聞く

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

ケータイが生活者のインフラになっていく

ケータイは日常生活とは切っても切れない存在だ(写真はイメージ)
ケータイは日常生活とは切っても切れない存在だ(写真はイメージ)

――ビジネスパーソン向けのケータイはいかがでしょう。

木暮   欧米に比べると、日本のビジネスパーソンは、ケータイの使い方が下手だと思います。世界のスマートフォンユーザーを見ると、きちんと仕事の延長線上にケータイを位置づけています。移動時間を有効活用するためにケータイを使っているんです。「ケータイを上手く使うと、オフィスにいる時間を短くできる」と。逆に端末を作っている側も、そこは意識してきませんでした。娯楽性に目が行きがちでした。今後は、スマートフォンとケータイとの距離が短くなっていくのではないでしょうか。

――ケータイの機能が高度化するにつれて、PCとケータイの境目がなくなるのではないか、という声もあります。

木暮   今はケータイがPCを追いかけている状況ですね。機能も、PC並に近づいています。その中で、ケータイがPCと一番違うのは、その名称どおり「いつでも持ち歩ける」ということ。PCを持ち歩くということは必ずしも多くありませんし、ましてや、歩いて使ったりはしませんよね。
   ある有名タレントのコンサートに招待するキャンペーンの話ですが、00年末には「はがきとインターネット(PC)」しか応募方法がなかった。翌01年にはケータイから、その場でも応募できるようにしたんです。そうしたら、応募件数が2万から180万に跳ね上がった。ケータイは、PCよりも「持って歩く」と言う点で、世の中を変えていける。より生活に密着した形で、様々な影響を及ぼしていくのではないでしょうか。

――そう考えると、PCとケータイ、厳密な定義をしても、意味がなくなってくるのかも知れません。

木暮   使い分けが必要になってくると思います。メールや簡単な調べものであれば、十分ケータイでもできますよね。「デスクワークはPCでしっかりやる」というようになるのではないでしょうか。

――他に「ケータイならでは」と言えるものはありますか。

木暮   ケータイは1人1台普及して、個人を認証できる機械になっています。例えば政府が「電子母子手帳」みたいなものを計画しています。赤ちゃんの体重データなどを記録して、予防接種の案内がメールで来る、といった具合です。政府はこれをPCでやろうと考えているようなのですが、PCを使わない母親もいる。「ならばケータイでやるべきだ」というのが、私の考えです。写真を撮りだめして、大人になった時に振り返って見てみることも可能でしょう。ただし、ケータイ端末の中にデータを保存しても、機種変更の時になくなってしまう。そこで、「データはネットワークの上に置いておいて、端末は、認証してデータを見に行くための道具」という考え方が広まりつつあるんです。
   そうすると、電子母子手帳だけでなく、ケータイが保険証や電子カルテの代わり、つまり生活者のインフラになっていくのではないでしょうか。身の回りのデータがネットワークに保管されていて、どこでも使える、というのは大きいですよね。

――最近話題になることも多い「クラウド・コンピューティング」とは、このことですよね。

木暮   何も新しい話しではないのですが、ネットワークの高速化によって、ようやく実用的になってきたからなんです。  これを「だれがやるの?」という話しになるのですが、あまり儲からない分、端末メーカーや携帯電話事業者はやりたがらないですよね。比較的熱心なのがauですね。ヘルスケア系サービスに熱心です。一例が、「au Smart Sports」のような、「ケータイ持ってジョギングし、成果をチェックする」といったサービスで、自分が走ったり歩いたコースが記録され、消費カロリーも分かります。私たちに必要なサービスだと思うのですが、コンテンツ会社は、お金にならなかったので、やってこなかった。発展すれば、社会インフラになりえます。
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中