2024年 5月 3日 (金)

デジカメ、楽器から健康チェックまで登場 携帯電話はどこまで進化するのか
携帯電話研究家・木暮祐一さんに聞く

「自分の情報をケータイに集約する」という流れ

――「ケータイの方がPCよりも期待されている」具体例はありますか。

木暮   一つの例は、ペースメーカーとの連携でしょうか。ペースメーカーは、これまではケータイとの相性が悪いと言われてきたのですが、これは10数年前の話です。日本では未認可の最新型のペースメーカーには、実はアンテナが付いているんです。日本でも近々認可されるとのことで、米国では10万人以上が使っているそうです。
   ペースメーカー自体が「体に埋めたコンピューター」になっていて、様々なデータを蓄積できる。加速度センサーなども付いていて、「どのように歩いたのか」も記録されます。蓄積したデータは体外に取り出す必要がありますが、そのための通信機能が付いているんです。集めたデータを、無線で体の外とやりとりしているわけです。
   今は専用の親機を介して、夜寝ている間にデータを吸い上げるのですが、将来的には、「体のデータをケータイで拾う」といったことが可能になるのではないでしょうか。そうすると、ケータイとペースメーカーは「切っても切れない関係」になりますよね(笑)
   これ以外にも、「身の回りの情報をどこに集めるか」を考えたとき、ケータイが一番わかりやすいんですよね。個人の持ち物であるからこそ、情報を箇所に集約した方が便利なんです。

――今後、「自分の情報をケータイに集約する」という流れは加速していくのでしょうか。

木暮   皆さんお気づきかも知れませんが、最初は電話帳しかデータが入っていなかったものが、メール、画像データなど、機種変更の時に移行しないといけないものが増えてきています。つまり、「なくしたとき」のダメージが大きい。
   その点、実は(JR東日本の)モバイルSuicaは、紛失しても大丈夫なんです。端末にチャージしているように見えて、実は金額のデータはサーバーに入っているので、端末をなくしても、ネットワーク経由でデータを新端末に移行できるんですね。 こんな風に、「データをネットワークに置いておく」という「クラウド」的な部分が、少しずつ認知されてきています。
   PCでは、SaaS(software as a service)と呼ばれる「多くのプログラムをネットワークの向こうで動かす」ことが広がりつつあります。これは「クラウド」の一種なのですが、この傾向がケータイにも波及していくように思います。実は、ケータイのネックは、電池の性能。これだと、電池を無理させることもないでしょうし、CPUへの負荷も少なくてすみます。ネットワーク経由で、大きなプログラムを動かせるとなると、可能性が広がります。

木暮祐一さん プロフィール
こぐれ・ゆういち 携帯電話評論家、武蔵野学院大学客員教授。1967年、東京都生まれ。1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチ。ユーザー視点からのケータイ関連記事の執筆を行う。また、携帯電話に関連する講義を主要大学で受け持つ。1,000台を超える携帯電話のコレクションも保有。

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