2022年 7月 2日 (土)

東大「一人勝ち」ますます進む 京大や早慶「何をやっとるのか」
(連載「大学崩壊」第2回/国語専門塾代表・中井浩一さんに聞く)

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安易に東大批判をする風潮をやめるべきだ

――東大の存在意義としては、学問の分野だけでなく、「官僚養成機関」としての役割も大きかったと思います。高度成長期など「国を支える、国を引っ張る官僚」が求められた時代もありました。しかし、昨今では官僚が国を引っ張る時代ではなくなり、「官僚養成機関」としての東大の価値は低下したのでは、という見方もあります。

中井   確かに東大が育成してきたのはキャッチアップ能力に優れた人材でした。先行するものがあって、それをうまく効率的に早く追いかける力がある人間でした。その最たるのが官僚です。東西冷戦以降、そうした人材では、すべての運営がうまくいかなくなった。もっと創造性、先見性ある人材が求められるようになりました。しかし、東大はそうした人材を育成して来られなかったし、今もできていません。
   しかし、キャッチアップ能力しか持ち得なかったのは、何も官僚だけではありません。日本の政治家だって財界人だって同じようなものです。結局はアメリカの後追いをする発想の枠組みでしか行動できませんでした。東大以外のほかの大学、例えば京大や早稲田や慶応は、以前から創造性ある人材を育成していたのでしょうか。要するに、官僚の役割低下の問題は、東大だけの問題でも官僚だけの問題でもない、ということです。

――では、東大一人勝ちはまだ続くし、それで構わない、ということでしょうか。

中井   今のまま発想を変えることができなければ、同じ状態が続くだけでしょう。それでいいとは思いません。東大が育てられなかった人材を輩出する大学が出てくることを楽しみに待っています。しかし、それにはお金の話の前に意識改革が必要です。大学関係者だけでなく、社会一般、国民意識にも当てはまると思います。
   まずは安易に東大批判をする風潮をやめるべきです。批判すべき所は勿論批判すべきですが、他と比べて優れているところは素直に認めるべきでしょう。アンチ東大、なんて言っている限り永遠に東大を超えることはできません。アンチの姿勢を心地よく感じるのは、70年代までの学生運動のノリで、それは実はありがたがっていることの裏返しです。もっと独自の価値観で堂々と勝負していい。アメリカ追随の政治しか持ち得ない日本社会ではもうだめなように、一人ひとりが考え直す時期かも知れません。このまま東大一人勝ちを許し続けるようでは、日本の将来は明るくありません。

中井浩一さん プロフィール
なかい こういち 1954年生まれ。京都大学文学部卒業。一般企業や大手予備校勤務の後、ドイツへ留学。1989年に国語専門塾「鶏鳴学園」を設立、現在も代表を務めている。中井さんは「真のエリートを教育するにはどうしたらよいのか。私の塾ではすでに4半世紀にわたり、それを実践してきました。拙著『日本語論理トレーニング』『脱マニュアル小論文』などを参考にして、是非大学の授業をチェンジしてほしいものです」と話している。著書に「大学『法人化』以降」(中公新書ラクレ)、「大学入試の戦後史」(同)など多数。

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