2024年 4月 25日 (木)

学生数30年で1.5倍 でも「M&A」とは違う
(連載「大学崩壊」第10回/立命館大学に聞く(下))

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「助けてくれませんか」という声にどう応えるか

――一中高一貫校についても聞かせて下さい。「学部生のうち、20%を中高一貫校出身者にしたい」という目標があるそうですね。その狙いについて聞かせて下さい。

今村: 元々、1979年時点では、付属校は1校しかありませんでした。それが今では小学校を含めると5校になります。立命館の名前を冠したクラスを持つ「提携校」も4校あります。
   ここまで増えた経緯なのですが、他の高校を買収したことは1回もありません。かつて週刊誌に「M&A」と書かれて気分を害したことがあったのですが・・・(苦笑)。
   私学というのは人材育成が大きなミッションですので、「中・高・大」という一貫教育の流れで人材育成したい、という思いがあります。学園全体で帰属意識を高めるのにも寄与すると考えています。
   ただ、「付属校を増やすために血眼になって、探している」ということでは、決してありません(苦笑)。現在の付属校についても「運営をお任せしたい」と話があって合併に至ったものがあり、経緯が異なるのです。
   例えば立命館宇治高校・中学校については、「運営をしていただけませんか」ということでお話をいただいたという経緯がありますし、立命館慶祥高校・中学校は、「運営者が高齢なので厳しい」といった経緯で、運営が立命館に移ってきたのです。

――一岐阜市立岐阜商業高校を立命館に移管する件、市議会で頓挫しました。どう受け止めていますか。

今村: 岐阜市との話し合いの中で、「市立岐阜高等学校の立命館への移管 付属校として09年春開校」ということで提案をさせていただきました。ところが、岐阜市議会の状況で、計画が頓挫してしまいました。私たちとしては、「残念」というところです。ただ、議会を二分するほどの議論を呼んで、世論としては7~9割が立命館誘致に賛成だったと聞いています。非常に熱心な誘致運動をしていだいたことも存じ上げています。このことは、非常に有り難いことだと感じています。しかし、これは議会の意志ですから仕方がありません。

――一これから、週刊誌が言うところの「M&A」が増えていくという可能性はありますか。

今村:大学を持たない私学の中高や、公立中高の統廃合のなかで、「この部分は私学で運営して欲しい」という提案はあるのではないかと思っております。しかし、当初の目標としていた「付属校・提携校の学生の占める割合20%」は、ほぼ達成しつつありますので、従来の計画とは違ったアプローチが必要だと思っています。全国からの「立命さん、助けてくれませんか」という声にどう応えるかは考えないといけないのですが、手当たり次第に数を増やすということは考えておりません。

建山和由さん プロフィール
たてやま・かずよし 学校法人立命館総合企画室長。1980年京都大学工学部卒業、85年京都大学工学研究科土木工学専攻博士単位取得満期退学。85年京都大学工学部 助手、京都大学工学部講師、京都大学工学部 助教授を経て、2004年 立命館大学理工学部教授。08年には、立命館大学教学部長、09年 立命館大学総合企画室長。

今村正治さん プロフィール
いまむら・まさはる 学校法人立命館総合企画部長。1981年立命館大学文学部卒業、学校法人立命館入職。学生課長、立命館アジア太平洋大学開設準備課長、APUスチューデントオフィス課長、APU事務局次長(学生・入試担当)、APU副事務局長、学校法人立命館財務部長、総務部長を経て、2009年 総合企画部長。

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