2024年 4月 30日 (火)

電子書籍市場 「ケータイ」と「漫画」で急成長

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   電子書籍の市場が確実に成長している。主にはコミックスがダウンロードされ、就寝前や移動中といった「すきま時間」に読む手軽さがうけているようだ。さらに、最近始まったiPhone向けの電子書籍サイトも好調で、「電子書籍と非常に親和性がある」という見方も出ている。

電子書籍市場の86%は携帯電話向け

   インプレスR&Dインターネットメディア総合研究所は2009年7月8日、日本の電子書籍の動向に関する調査を発表した。それによると、2008年度の電子書籍市場規模の推計は464億円。前年度と比べると131%増で、順調に成長していると指摘する。その中でも、市場を牽引しているのが携帯電話向けサービスで、全体の86%を占めている。同研究所は、J-CASTニュースに対して、成長の要因についてこう話す。

「08年度から徐々に出版社がコミックスのコンテンツ拡充に努めてきたことが挙げられます。サービス開始直後は過去の作品が多かったが、最近の動きとしては連載中の作品も一部配信しており、充実しています。これは、出版社各社が紙への不安から電子化を急いだためでしょう」

   ケータイユーザーから回答を得た電子書籍利用動向調査では、電子書籍を利用したことがある人の割合は08年度で32.7%、前年度と比べて3.1%増にとどまってはいるが、利用する82%はコミックスが占めている。前出の担当者によると、ケータイでコミックスを読むのは就寝前や移動中が多く、いずれもPCが立ち上げにくい場所で利用される傾向にあるとのことだ。これは隙間時間を使い、手軽に暇つぶしができるというわけだ。

   もっとも、電子書籍市場の拡大には複合的な要因がある。前出の担当者は、コンテンツが拡充されたのは、出版不況による新たな可能性の模索であること、携帯電話のパケット代の定額化、また、携帯電話による決済の便利さなどを挙げている。そして、最近顕著になっているのは新デバイス、たとえばiPhoneの登場だ。

10日で1万件ダウンロード

   電子書籍大手のeBook Japanは2009年6月22日、iPhone、iPod touch向けのコンテンツ配信を開始した。なお、同サイトではパソコン向けに少年漫画や青年漫画・少女漫画、文芸書など3万点を取りそろえ、漫画や文芸書は315円~420円で購入できる。アクティブユーザーは約3000人。決済はクレジットカードなどを利用して自社で行っている。

   そうしたところ、リリース後の10日間で1万件を超える作品がダウンロードされる好調ぶりだったという。しかも、読者1人当たりの平均購入金額は1万円。これはPCユーザーのおよそ2倍の利用金額という。販売ランキング上位には現在、漫画「ゴルゴ13」「美味しんぼ」「静かなるドン」「ブラック・ジャック」などがランクインしている。

   こうした好調の要因について、イーブック イニシアティブ ジャパンのプロデューサー・鈴木雄飛さんは、

「サイトオープンと、iPhone 3GSの発売が重なったのも一因でしょうか。ただ、iPhoneの画面の大きさがコミックスを読むのには十分な大きさであり、画質も良好。本棚1個分のコミックスが1つの端末に納められ、それがどこでも閲覧できるようになった――こうした利便性がうけているのでしょう」

   と分析する。ちなみに、iPhoneを通じたコミックスのダウンロードサービスはまだまだ少ないようだ。

   一方、電通も2009年夏、デジタルコンテンツ配信サービス「MAGASTORE(マガストア)」を立ち上げ、電子「雑誌」の有料配信に乗り出す。まずはiPhoneアプリでのサービスとして始め、その後は順次、携帯キャリア向けのサービスも提供していく。出版社20社以上が参加し、ビジネス誌やゴルフ誌、実用書など30誌の雑誌を販売。最新のコンテンツに加え、バックナンバーも購入可能という。

   前出の鈴木さんは、「iPhoneは電子書籍と非常に親和性がある端末であることは間違いない。iPhone向けにはこうした展開が続々出るのではないでしょうか。もしかしたら2009年が、その元年になるのかもしれませんね」と話している。

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