百貨店の低価格路線 ワタミ代表「失敗する」と予測
2009.09.29 20:22
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「向かうべき方向が各社とも明確になっていない」
PBの値下げ合戦はイオン、ダイエー、イトーヨーカ堂といった総合スーパー(GMS)で盛んに行われている。しかし渡邉氏は、
「百貨店のPBは、値段を下げてはいけない」
と持論を展開する。
好立地に建つ百貨店は家賃が高い上に、内装やサービス面でもGMSよりもお金がかかっている。にもかかわらずGMSと同じように安くしたら、「自らの首を絞めてしまう」。百貨店が生き残るには「商品力を高めないと」と渡邉氏は訴える。商品力とは「百貨店で買うことのワクワク感だったり、思い出だったり」とし、付加価値のあるもののようだ。
民間総合調査機関、矢野経済研究所ファッション・スポーツ&リテール事業部2課の上級研究員松井和之さんは、百貨店の低価格路線について、
「吉と出るか、凶と出るか、と言うよりも、安いPBの導入や価格訴求型の店をどこも入れたがっているのは、苦肉の策というのが実情ではないでしょうか」
といっている。
「伊勢丹神話」と言われるように、どの百貨店も伊勢丹に続けば成功すると思われていた。実際、伊勢丹のバイヤーは商品の仕入れ能力が高く、独自のセレクトが客にうけていた。ところが、その伊勢丹でさえ景気の変動を受け、ファッションビルや専門店にお客を取られている。前出の松井氏は、
「百貨店が向かうべき方向が各社とも明確になっていないのだと思います」
と話している。