2024年 5月 3日 (金)

予算編成に民主党四苦八苦 省庁による熾烈なぶんどり戦必至

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   民主党政権下で初めて一から行う予算編成がスタート、2011年度予算の概算要求基準が2010年7月27日の閣議で決まった。だが、国会の衆参のねじれで野党にも目配りせざるを得ない中、早くも各省庁などによる「分捕り合戦」が始まる気配で、「政治主導」の掛け声とは裏腹に、「財務省主導」の声も聞こえる。政権交代を名実ともに示すはずの予算編成も、民主党らしさを発揮するのは容易ではなさそうだ。

   まず、要求基準の大枠として、国債費を除く歳出を10年度(約71兆円)以下に抑えるとした上で、高齢化の進展などに伴う社会保障費の自然増約1.3兆円には手をつけず、これを除いた経費約24兆円を対象に、各省は概算要求額を前年度比で一律1割削減。

閣僚から「自民党政権と変わらない」と不満

   削減分(2.4兆円)のうち、「1兆円を相当程度超える額」を新成長戦略やマニフェスト関連事業に充てる「元気な日本復活特別枠」などに回すとしている。「特別枠」の規模は、党が「2兆円程度」を求めたものの、「1兆円を相当程度に超える」との表現に「圧縮」された。

   「一律1割削減」について菅直人首相は「予算編成では査定大臣としての意識を十分持っていただきたい」と、無駄削減に率先して取り組むよう閣議で指示した。しかし、一律カットは事実上、旧来の「シーリング方式」の復活といえ、閣僚からも「自民党政権と変わらない」(山田正彦農相)との不満の声が上がっている。

   また、「(削減できない)人件費と装備費を除けば、防衛省の予算はほんのわずか」(北沢俊美防衛相)などの「本音」も聞こえる。各省が「自分の予算は削れない」と言い続ければ、「要求を削減して財源を作る」との概算要求基準の基本線が崩壊しかねない。

   「特別枠」の扱いも火種だらけだ。各省は概算要求を10年度比1割削減するものの、削減分を特別枠向けの「要望」として提示することができる仕組み。特別枠の配分で1割分が戻ってくれば、その省としては10年度と同額の予算が確保できることにはなる。

   特別枠へ要望できる事業は、マニフェスト実現やデフレ脱却・経済成長、国民生活の安定・安全など幅広く、各省が削った事業を「要望」に移し替えれば、「ラベルの張り替えに終わりかねない」との指摘もある。いずれにせよ、各省庁による熾烈な争奪戦は必至。

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