都内の水道水中の放射性物質 連続して「不検出」になる
食品衛生法で、乳児は1キログラム当たり100ベクレル以下で
日本産科婦人科学会が、検出された数値よりも濃度が高い500ベクレルの水道水を、280日間の妊娠期間中に毎日飲んだ場合の被曝量は約3ミリシーベルトで、母乳に分泌される量はその4分の1程度で、胎児に影響が出るとされている50ミリシーベルよりかなり低いことなどを訴えたが、「ミニパニック」を押さえるには至らなかった。
金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水し、東京23区と武蔵野、町田、多摩、稲城、三鷹市に供給している。放射性ヨウ素について、政府は食品衛生法に基づく基準で、乳児は水道水1キログラム当たり100ベクレル、それ以外は同300ベクレルを超える場合は飲まないよう定めている。基準を超えた金町浄水場のヨウ素131の数値は3月22日の210ベクレルをピークに、23日に190ベクレル、24日に79ベクレルに下がったため、東京都は24日に取水制限を解除した。
しかし、その後も各浄水場や新宿区百人町の水道水からは放射性物質の検出が微量ながらも続いていた。
東京都によると、都健康安全研究センターが取水する新宿区百人町の水道水は、朝霞浄水場が7割を占め、乳児の飲用制限の原因となった金町浄水場の比率は低いという。それでもヨウ素131は5月3日まで、セシウム134は4月25日まで検出されていた。
水道水の放射能汚染は、ひとまず収束の方向だが、気になるのは都内の塵や雨といった降下物に含まれる放射性物質の値だ。同センターは水道水と同じく新宿区百人町の大気についても毎日検査しているが、セシウム137は5月に入ってからも7日、8日と連続して検出され、ヨウ素131も5月6日に検出されるなどしている。
同センターは「大気中に拡散している放射性物質が雨と一緒に地上に落下したためとみられる」と説明しているが、微量な放射性物質が塵としてなお浮遊しているのは確かだ。