2024年 5月 4日 (土)

高橋洋一の民主党ウォッチ
菅首相の失敗と責任は不問? 官邸の「原発検証委」の正体

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内閣官房が官邸の初動ミスを取り上げるはずない

   こうした委員会運営では、庶務を誰が行うかが決定的に重要だ。この庶務を行う部署(事務局)は「庶務権」をもつといい、委員会委員より実権をもつ。委員会の会議のスケジュール調整、報告書の素案作成その他で、委員会の命運を握っている。もし事務局の意向に沿わない委員がいたとしても(好都合の委員しか事務局が選ばないからその可能性は低いが)、その人の都合の悪い日に委員会を開催して、意見をかなり封じることもできる。

   また事務局が内閣官房というのも問題をはらむ。内閣官房は、固有の職員がほとんどおらず、各省庁からの出向者で構成されている。ということは「関係行政機関」からの出向者が事務を行うことになる。閣議決定でも「関係行政機関の協力を得て」とそれを裏付ける一文が入っている。しかも、内閣官房は官邸そのものであり、彼らが官邸の初動ミスを取り上げるはずない。

   これらの懸念を払拭するためには、国会に事故調査委員会を設置すべきだった。それなら、政府から独立しているといえる。国会で指名する委員会であれば、いろいろと政府の関係を詮索されることもなかろう。また、そこに首相が出席するのは当たり前のことであり、わざわざ首相が挨拶でいうべきことでない。

   いずれにしても政府の「事故調査・検証委員会」で、責任追及がないならどうしたらいいのだろう。残された手段は、検察による責任追及だ。検察も業務上過失致傷罪で東電経営陣を追及する準備を進めているという話もある。菅首相や官邸が初動ミスをしたという指摘は多いが、結局責任を問われないようなのは残念だ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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