2024年 4月 27日 (土)

日本の農業、実は強い TPPは成長するチャンスだ 

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農業は産業なのか家業なのか、そこが渾然一体

「消費者が簡便性を求め、素材を料理しなくなってきましたが、そこに生産者が入り込み、川下のマーケットや農産加工に取り組む余地はまだまだあります」
(青山浩子さん)
「消費者が簡便性を求め、素材を料理しなくなってきました。そこに生産者が入り込み、川下のマーケットや農産加工に取り組む余地はまだまだあります」(青山浩子さん)

――なるほど。それでは改めて、いまの農業の1番の問題はどこだと思いますか?

青山 農業は産業なのか家業なのか。そこが渾然一体としている。産業というのは、コストであったり生産性だったりを追求するものですが、家業は、あくまで自分や家族を養うため、農地を守っていくための手段です。農家が減り、生産力が弱体化しているいま、今後は「産業」にシフトしていかなくてはいけないのに、政策もこの区別ができていません。
   浅川さんがおっしゃるように、産業であれば農家が減っていくことが悪いとは思いませんが、農水省も政府も、区別をつけられずにいます。それぞれ異なるものとしてとらえ、必要な政策をとっていく必要があるでしょう。
古田 農業は農業以外の分野とのコラボレーションが必要です。一例ですが、デンマークにサムソ島という島があります。島民はたった4000人ですが、いまから10年前に風車、地熱などの自然エネルギーのみで暮らそうという方針が決まりました。結果どうなったかというと、農作物の値段も以前の1.5倍になったし、「あそこはグリーンアイランドだ」と噂が広まり、観光客も増えたんです。つまり何が言いたいかというと、農業だけでなく、エネルギー、観光などトータルで考えれば新しいマーケットが生まれる。その境目にこそ成功があるのです。
新浪 何といっても「若い世代」の力が必要です。高齢化が問題といわれますが、まったくその通り。年齢が高い人が多いと、どうしても保守的になってしまいます。若い人たちが出てきた方がイノベーションにつながるし、おもしろいアイデアも出てきます。若い世代をどう担い手にしていけるかが大事です。
浅川 食べる用途以外の農産物生産にマーケットの出口を広げるために、酒やたばこの自由化を訴えたいですね。酒税やたばこ税もゼロにする。生産が自由になると供給は増えます。税務署にコントロールされるような不自由な世界はやめるべきです。お酒は水や土地が作るものですし、自由に作れるようになればそれだけチャンスは増えますよ。
古田 日本の地ビールは税金が高いんです。だからなかなか参入できない。たしかに税金は問題ですね。

――米はどうですか?

浅川 関税を無くしちゃえばいいんです。自由化すれば食品メーカーも、いい米使っていいものつくろうと思でしょう。たとえば、イタリアは世界一の小麦の輸入国です。その小麦を使って「パスタ」として輸出しています。日本もそうやって産業を発展させていくことが大事だと思います。
古田 イタリアやフランスは加工品のブランディングがすごくうまい。日本はまだまだです。フロリダのグレープフルーツのように「ブランド」を仕掛けることができれば、米だって世界で闘えますよ。

――では、国の政策はどうすればいいのでしょう。

新浪 農業法人を増やすべきです。新たに参入しやすい仕組みがもっと必要です。農協も法人が加われば、適切な競争原理が働いて、お客さまのニーズに合ったモノづくりするようになりますし、マーケティングという概念も強まります。そのためには、10~20年と長い時間で支援できるファンドづくりが必要かと思います。
浅川 いまの農家を「特権階級」と認めたうえで、農地法を無くしちゃえばいいんです。そうすれば活用したい人に解放できて、やりたい人が土地を買えますから。
古田 僕は、国の政策を待つのではなく、最初は小さくても、企業とコミュニティと一緒になってまず動いてみることが大事だと思っています。まずは価値創造を行ってみないと国もそれがいいか悪いかジャッジできないですよね。たとえば、東日本大震災直後に、ローソンさんが被災地にまず出向きました。そういう民間じゃないとできないことがきっかけになるのではないでしょうか。
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