2024年 5月 5日 (日)

スカイマークの大いなる不安 なぜお粗末トラブル連続するのか

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   格安運賃で業績を伸ばすスカイマークに4か月間に6件もトラブルが発生し、国土交通省は2012年5月22日、同社を厳重注意した。

   いずれも航空法違反の疑いがあり、自動操縦の設定を間違えて誤ったルートを飛行したり、指示とは違う滑走路に着陸したりするなど、安全上の問題に直結するものだ。同社は10年にも業務改善勧告を受けているが、国交省は「対策の効果が十分でない面がある」と怒り心頭だ。

経路入力終わらせずに出発

4か月間に6件のトラブルが起きている
4か月間に6件のトラブルが起きている

   トラブルの頻発を受けて国交省が5月14日から16日にかけて立ち入り検査を行ったところ、「運航乗務員(パイロット)による基本操作の不徹底及び基準、規定等を遵守する意識の欠如」「安全統括管理者を中心とする安全管理体制の不備」「社内の意思疎通が不十分」といった実態が明らかになったとして、厳重注意を行った。

   国交省の航空局安全部航空事業安全室によると、問題とされているのは、12年2月から5月に起こったトラブル6件だ。

   1件目が、2月25日の那覇発宮古行きのBC547便。宮古空港の滑走路が視界に入るまでは「最低降下高度」として定められた540フィート(約165メートル)で飛ばなければならなかったが、404フィート(123メートル)まで降下した。対地接近警報装置と呼ばれる地面への異常接近を知らせる装置が作動したため、パイロットが高度を上昇させて事なきを得た。本来ならば自動操縦装置に「降下の際、しばらく540フィートで水平飛行する」ことを設定する必要があったが、この設定が抜け落ちていた。

   2件目が、翌2月26日に成田発福岡行のBC803便が離陸後に起こしたトラブル。パイロットは、事前に飛行管理システム(FMS、Flight Management System)に経路を事前に入力する必要があったが、入力が完了しないまま出発。本来の経路では、離陸後に右に旋回することになっていたが、入力不備が原因で旋回のタイミングが遅れた。管制官の指摘を受けて経路を修正した。

   3件目も同様のトラブルだ。3月27日の新千歳発成田行きのBC874便では、FMSに経路が正しく設定されておらず、やはり管制官の指摘で経路を修正している。

「勘違い」で間違った滑走路に着陸

   4件目のトラブルは、4月22日の新千歳発茨城行きのBC794便。茨城空港には2本滑走路があり、管制官は西側の滑走路に着陸するように指示していたが、飛行機は「勘違い」で東側に着陸した。周辺に他の飛行機はいなかった。

   5件目は、5月9日に成田から旭川に向かう便で、主翼の防氷装置を誤って作動させたというもの。

   最後の6件目は、国交省は「社内の意思疎通が不十分」だとして問題視しているトラブルだ。

   国の規定によると、パイロットは24時間のうち8時間以上飛行機に乗務してはならず、社内で決めた勤務時間を超えて勤務してはならないことになっている。スカイマークの場合、24時間のうち13時間以上勤務してはならないと定めている。ところが、4月30日に夜遅くまで、5月1日に朝から勤務していた副操縦士が、乗務時間を36分、勤務時間を2時間34分超過していた。スカイマークの勤務管理システムでは月ごとに乗務・勤務時間を管理しているため、月をまたいでしまうと超過乗務・勤務が把握できないという不具合(バグ)があったのが原因だ。システム担当者はバグを把握していたが、パイロットの勤務を管理する担当者は把握していなかったという。副操縦士が「乗りすぎなのでは」と気付き、会社側に確認したところ、超過乗務・勤務が発覚した。

   国交省は2010年4月にも、スカイマークに対して「安全運航体制の確立のための業務改善勧告」を行っている。客室乗務員(CA)の英語力不足が原因で外国人パイロットの意思疎通が十分にできなかったり、パイロットが操縦室で記念撮影を行っていたことが明らかになったことなどが原因だ。今回、国交省からスカイマークに対して出した文書では、

「当該業務改善勧告を受けて実施してきた対策の効果が十分でない面があると言わざるを得ず、誠に遺憾」

と、強くスカイマークの対応を非難している。

   国交省では6月5日までに改善策を報告するように求めており、スカイマークの広報担当者は、

「改善策の報告に向けて、社内で対策、検証を進めている」

と話している。

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