2024年 5月 9日 (木)

金利1%上昇で6.4兆円の損失 国債頼み大手銀行の危うい中身

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3メガは海外部門で利益を稼ぎ出した

   国債でもうからなくなるどころか、大量保有のリスクへの懸念が高まってさえいる。5グループの国債保有残高は2012年3月期末で約120兆円と、リーマン・ショック前の2倍以上に膨らんでいる。国債など国内債の金利が1%上昇した場合に地銀などを含む邦銀が保有する債券の値下がり損は計6.4兆円になると試算され(4月の日銀「金融システムリポート」)、「消費税増税の頓挫で金利が急騰でもしたら大変なことになる」(金融筋)。

   ここは、本業、つまり貸し出しで安定した収益を稼ぎ出すこと以外にない。三菱UFJFGの永易克典社長は「顧客部門収益で稼いで持続的成長にもっていくのが経 営のあるべき姿」、宮田孝一・三井住友FG社長も「資金需要創出のため、顧客ときめ細かく会話する」と述べるが、 人口減少や国内産業の空洞化の中、国内での資金需要はなお弱い。

   勢い、各行は海外向けの貸出に期待するしかない。2012年3月期に3メガの海外貸出しは約2割増えて40兆円になっている。融資全体の約2割を占め、海外部門が利益全体の3割を稼ぎ出した。欧州危機で融資を絞る欧米の銀行分の肩代わりが貢献したとみられる。欧州危機が邦銀に結果として追う風になったわけだが、危機の長期化で資金需要の一段の後退、また欧州市場の冷え込みで輸出 が減って中国経済が急減速するなど、世界経済全体の低迷が長引けば、邦銀だけ貸し出しを増やし続けられるはずもない。

   足を引っ張る証券や消費者金融などグループ会社の建て直しを含め、大手行の収益アップへの課題は多い。

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