2024年 4月 26日 (金)

歯を食いしばって涙をこらえた「仮設の天使」【岩手・大槌発】

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おばあちゃんたちに笑顔を振りまく蒼空ちゃんと母親の美華さん=大槌町の小鎚第5仮設団地で
おばあちゃんたちに笑顔を振りまく蒼空ちゃんと母親の美華さん
=大槌町の小鎚第5仮設団地で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「そらちゃんは泣かなかったよね。だから、おばあちゃんたちも頑張って涙を流さないようにするからね」―。10日、大追町の小鎚第5仮設団地の集会所に明るい声がこだました。この日、はるばる北海道から名物のジンギスカンを携えてやってきたボランティアグループ「赤平市民活動支援センター」(神田隆代表)の一行も「こっちの方が逆に元気を貰ってしまって…」と笑顔を見せた。


   仮設団地に住む佐々木美華さん(34)の次男、蒼空(そら)ちゃんはあの大震災の約2カ月後の5月25日に生まれた。「大空に羽ばたいてほしい」という願いを込めてこう名付けられた。名前のようにすくすく育った。今年5月初め、花巻市東和町の神社の伝統行事「全国泣き相撲大会」(春場所)に出場。6ヶ月 から1年6ヶ月の赤ちゃん力士が相手を泣き負かす大会で、蒼空ちゃんは歯を食いしばって涙をこらえた。


   「仮設の天使」―。蒼空ちゃんは以来、元気を振りまく仮設のアイドルに。「仮設のおばあちゃんやおじいちゃんに可愛がってもらって、この子は幸せもの」と母親の美佳さん。ジンギスカンやアスパラなど北海道の味覚を振る舞っていたボランティアのみんなが感に堪えないという面持ちでつぶやいた。「蒼空ちゃんって、震災の犠牲になった多くの人たちに代わって、神様から遣わされた天使かもしれない」


   蒼空ちゃんに誘われるように30人以上の人たちが集会所狭しと集まってきた。炊き出しが佳境に達した正午、防災行政無線から昼のチャイムが流れた。故井上ひさしさん原作の人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルは大槌湾に浮かぶ蓬莱島と言われる。その主題歌である。蒼空ちゃんを囲んだ談笑の輪が部屋中に広がって行った……

苦しいこともあるだろさ 悲しいこともあるだろさ
だけどぼくらはくじけない 泣くのはいやだ笑っちゃおう
進めひょっこりひょうたん島 ひょっこりひょうたん島
ひょっこりひょうたん島
蒼空ちゃんから元気をもらったお年寄りたちはみんな生き生き=小鎚第5仮設団地で
蒼空ちゃんから元気をもらったお年寄りたちはみんな生き生き
=小鎚第5仮設団地で
ボランティアのみんなはせっせとジンギスカンの準備。あたりには美味しそうな匂いが=小鎚第5仮設団地の集会所前で
ボランティアのみんなはせっせとジンギスカンの準備。あたりには美味しそうな匂いが
=小鎚第5仮設団地の集会所前で


ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
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