2024年 5月 4日 (土)

B787型機、運航停止 ANAとJAL長期化すれば収益低下も

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   電気系統の不具合や燃料漏れのトラブルが続いているボーイング787型機が、「安全性が立証されるまで」運航停止となった。2013年1月17日、国土交通省が全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)に対して命令した。

   世界でいち早く、また多くを導入してきたANAとJALは、国内線・国際線の運航見合わせや機材変更と対応に追われるが、運航停止が長期化すれば、経営への影響は必至だ。

B787は「ゲームチェンジャー」

トラブル続きで運航停止となったB787型機(写真はイメージ)
トラブル続きで運航停止となったB787型機(写真はイメージ)

   B787は、機体にカーボン素材を採用した最新鋭機で、機体のサイズが比較的小さい中型機ではあるが、飛行距離は大型機(B777型機)並みに長い。たとえば、B767では米西海岸までが精一杯だが、B787ならば米東海岸まで直行便が飛ばせる。

   しかも、燃費効率はB767に比べて約2割改善。そのため、B787であれば利益が出るとして、ANAやJALは従来採算があわなかった海外の地方都市などへ積極的に路線を開設してきた。たとえば、ANAの米シアトル便や米サンノゼ便、JALの米ボストン便や米サンディエゴ便などがそれ。B787が「ゲームチェンジャー」(業界の枠組みを変える存在)とも呼ばれる所以だ。

   また、最新鋭機という物珍しさも手伝って、利用客の増加にもつながっている。その分、航空会社にとっては収益力の向上が見込め、文字どおり「待ちに待った飛行機」(JALの植木義晴社長)だったわけだ。

   ボーイング社によると、B787を受注する航空会社の上位5社(確定発注ベース)は、インターナショナル・リース・ファイナンス社、ANA、ユナイテッド航空、JAL、アメリカン航空で、世界で運航されるB787のうち、約半数を日本の航空2社が使用している。

代替機材への変更はコストアップ

   現在、ANAは国内・国際線の全231機のうち17機のB787を、12の国内線と4つの国際線で運航。JALは全217機のうち7機で、欧米を中心に6つの国際線で運航している。

   トラブルが続いてことで、両社ともすでに2013年1月16日からB787の運航は全路線で取りやめており、同日はANAで国内線32便、国際線7便が欠航。JALはシンガポール便の一部をB777に代替運航したものの、モスクワ便やサンディエゴ便など国際線8便を欠航した。

   17日は、ANAが国内線35便、国際線6便で欠航。JALは国際線4便が欠航、4便を機材変更で対応。18日は、ANAで国内線24便、国際線6便が欠航。JALは3便を欠航、9便をB767やB777に機材変更。また19日から25日までに8便を欠航、70便の機材変更を決めた。

   両社はB787の運航停止で欠航や機材変更を余儀なくされるが、その遣り繰りは簡単ではない。たとえば、JALのボストン便などは航続距離が短いB767では運航できないため、航続距離の長いB777を投入することになるが、B777は大型機なので運航コストが余計にかかる。

   そのうえ、大型機なのでB787より多くの客室乗務員(CA)が必要になり、その人員が確保できなければ、結局は欠航に追い込まれる可能性もある。徹底した経営合理化による人員削減が「裏目」が出てしまったわけだ。

   もちろん、それらは収益にハネ返ることになる。ANA、JALともに短期的には代替機材への変更に伴うコストアップと、欠航に伴う下振れリスクがある。さらに中長期的には、B787の運行再開やボーイング社からの納入が遅れるほど、航路計画の見直しなどに影響を及ぼすだろう。

   JALは2013年2月に成田‐ヘルシンキ便をB787で就航する予定だったが、「就航に変更はありません。ただし、787が使えない場合は代替機を飛ばすことになります」と話している。 一方、ANAも3月から国内線の羽田‐秋田間でB787を就航する予定だが、同社は「現在のところ、未定です」という。

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