2024年 4月 19日 (金)

東京都現代美術館「閉館騒動」で大混乱 「エイプリルフールでした」に都カンカン

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   東京都現代美術館が閉館――そんな「怪情報」が広がり、美術愛好家たちの間に一時衝撃が走った。

   騒動の発端となったのは、雑誌「月刊ギャラリー」(ギャラリーステーション)に掲載された美術ジャーナリスト・名古屋覚氏の文章だ。それによると、同美術館清算のための条例案が、年内にも都議会に提出されるというのだ。

収蔵品売り払って「アニメと伝統美術」の殿堂に?

問題の文章が掲載された「月刊ギャラリー」
問題の文章が掲載された「月刊ギャラリー」

   東京都現代美術館は江東区三好四丁目に1995年に開館した。地下鉄の木場や清澄白河駅から約15分。石原慎太郎前都知事が「一旅行するつもりで行きませんと、出かけるつもりにならない」と発言したこともあるように立地はいささか遠いが、開館当初はアンディ・ウォーホル展(96年)、ポンピドー・コレクション展(97年)、荒木経惟展(99年)、三宅一生展(00年)など意欲的な展覧会を続け、美術ファンの注目を集めた。

   02年から、美術好きで知られる故氏家斉一郎・日本テレビ元会長が長く館長を務めたこともあり、日本テレビと関係が深いスタジオジブリ関連の催しが多く、アニメファンからの注目度も高い。2012年の「特撮博物館」展は30万人近くを集めた。

   その現代美術館が「閉館」とはどういうことか。名古屋氏による問題の一文は、氏による美術館レポートに付随して掲載されたもので、問題部分は以下のような内容だ。

「……ところで、そんなインチキみたいな展示を多くやる東京都現代美術館を閉館し、主に都内在住作家による最新のアニメやゲームと、書や工芸などわが国の伝統美術を同時に紹介する『クールトーキョーフォーラム』を同館建物内に新設する方針を、東京都はこのほど固めた。収蔵品売却と美術館清算のために必要な条例案を年内にも都議会に提出するという。本誌発行日には周知のことになっているだろう」

   2013年4月1日に雑誌が発売されると、この文章がたちまち拡散した。「マジで!?」「もしホントならこれはショック過ぎる」と衝撃を受ける人が相次ぎ、美術館側に問い合わせる人も出た。

   この騒動に現代美術館は4月3日、全面否定の声明文を発表した。

「名古屋氏の記事のうち当館に関する部分につきましては全くの事実無根であり、閉館の予定などはございません。『月刊ギャラリー』編集部に対しては、現在、強く抗議しているところでございます」

雑誌側の「謝罪」にも都は再抗議

   対する「月刊ギャラリー」も4日、ウェブサイトを通じ、問題の文章は発売日がエイプリルフールだったことにかけた「ユーモア」だったと釈明した。名古屋氏も同時に謝罪を行ったものの、こちらは、

「『本誌発行日には』(4月1日のこと)とヒントまで書いたのに、世界で楽しまれているエープリルフールのジョークが分からない方々が美術館や文化行政や報道に携わっていたり、美術に関心を持っていたりするらしいこと…(中略)…このたびそうした方々をお騒がせしてしまったことは、大変遺憾であります」
「あるいはジョークの内容が、ひょっとしたらあり得るかもしれないと感じさせるものだったのかもしれません」

といささか開き直った様子だ。この「お詫び」に、東京都の担当者はかえってお怒りの様子で、J-CASTニュースの取材に以下のように答えている。

「ジョークもわからない人間が行政に関わっている、また閉館が『あり得ると感じさせる』などという名古屋氏の『謝罪』は、あんまりです。そもそも謝罪と言っていいものかどうか……。雑誌側のお詫び文と合わせ、再度抗議を行っています」

   なお、同館は改修工事のため近く長期の休館をするのではないかと取りざたされたこともあるが、まだ具体的な話ではないということだ。

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