2024年 4月 19日 (金)

【J-CASTが見た2013年】第7回
「アベノミクス」でぶっ飛ばし、靖国参拝 安倍首相の「高支持率」、年末に揺らぐ

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   アベノミクスや日韓・日中関係の問題、参議院選、消費増税、特定秘密保護法、TPPなどをめぐり、2013年の安倍首相は連日のようにマスメディアに登場した。また自身のフェイスブックでも積極的に情報を発信し、ネットでの存在感も大きかった。年末には靖国神社にも参拝し、政治信条を内外に示したが、新たな火種をつくることにもなった。

   J-CASTニュースでも、安倍首相をめぐる話題を多数取り上げてきた。それらの中から読者の注目の多かった記事について、アクセスランキングをもとに振り返る。

爆笑問題・太田から「ネットユーザーをあおる」と批判

「アベノミクス」で流行語大賞入りもした安倍首相
「アベノミクス」で流行語大賞入りもした安倍首相

   経済政策が評価され、英エコノミスト誌に「スーパーマン」のイラストで表紙に登場したり、参院選テレビ特番で関口宏氏と憲法9条について「直接対決」したり、フェイスブックで毎日新聞に書かれた批判記事を「トホホな記事」「印象操作」「(笑)」とバッサリ斬り捨てたり。あるいは原発輸出や消費増税反対の昭恵夫人に家庭では「降伏」していることを明かしたり・・・。話題に事欠かない安倍首相に関する記事で、アクセスが多かったのは――

1位:安倍首相「有名な憲法学者」の名にポカン 「芦部信喜知らないって…」支持者もドン引き(3月30日)
2位:韓国紙「ヒロシマ、ナガサキはアジア人の復讐」 安倍首相批判に「原爆の正当性」持ち出す(5月21日)
3位:爆問・太田光「ネットあおる安倍首相は卑怯だ!」 正論? それとも「幼稚でヒステリック」?(5月7日)

   3位に入ったのは爆笑問題の太田光さんによる安倍首相批判を取り上げた記事だ。太田さんはラジオ番組で、安倍首相がネットユーザーをあおってマスコミを攻撃させている、と主張していた。昨年末のことだが、報道に対して安倍首相がフェイスブックで反論した後、ネット上で批判が盛り上がり、TBSが謝罪に追い込まれたこともあったからだ。読者からは「TVあおる太田の方が卑怯」「ネット民をうまく利用しようとする意図は見える」などのコメントがあった。

   安倍首相はネットでの政治活動に積極的で、ニコニコ動画について「私のホームグラウンド」と発言するなど従来マスコミとは別の回路をうまく活用してきた。参院選では、インターネット選挙運動解禁に合わせてリリースしたスマートフォン用ゲームアプリ「あべぴょん」も話題になった。結果は、自民の圧勝だった。

韓国メディア、「731」試乗に反発

   一方で、近隣諸国との関係は冷え切った。とりわけ韓国メディアによる安倍首相批判は徹底していた。J-CASTニュースで取り上げた中で特にアクセスが多かったのは、韓国大手紙「中央日報」電子版が安倍首相の批判するコラムの中で、日本に落とされた原爆について言及したことを紹介した記事だ。

   コラムでは論説委員のキム・ジン氏が原爆投下を「神の懲罰であり人間の復讐だった」と位置付け、「日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐」と断言した。また安倍首相が宮城県で試乗した自衛隊機の機体番号が「731」だったことについて、生体実験をしたとされる旧日本軍の「731部隊」との関連性も主張し、

「安倍は笑いながら731という数字が書かれた訓練機に乗った。その数字にどれだけ多くの血と涙があるのか彼はわからないのか。安倍の言動は人類の理性と良心に対する生体実験だ」

とまで述べている。

   この記事にはJ-CAST読者から「ここまで書くとは呆れた」「明らかに一線を越えている」と憤慨するコメントが100件以上書き込まれた。

憲法学の大御所「知らない」発言にガッカリ

   そして2013年で安倍首相関連の記事で最も読まれたのは、憲法学者・芦部信喜氏(1923~1999)を知らないと、安倍首相が話したことを報じた記事だ。参院予算員会で民主・小西洋之参院議員の質問に答えられなかった。

   法学部卒(政治学科)で憲法改正を唱える首相が、憲法学の「大御所」の名前を知らなかったことを残念がったり、呆れたりする声が出た一方で、クイズのような形式で憲法理解を問うことに批判の意見もあった。コメント欄には「知らないからと言ってなんだよ」「漢字テストと同じだな」といった意見から始まり、約800件にも上る議論が積みあがった。

   毀誉褒貶ありながらも2013年は、おおむね高い支持を得ていた安倍内閣だったが、年末にかけて風向きが変わりつつある。大手マスコミの世論調査で支持率低下が報じられ始めたのだ。時事通信の12月の調査では支持47.1%、不支持32.1%。他社調査も似た傾向で「初めて支持が50%切る」などと報じたところが多かった。

   そして頼みのネットでも、ドワンゴとニワンゴによるネットの世論調査(12月18日実施・発表)で同様の傾向が出た。支持率は44.1%で前回から6.6ポイントの急落、政権発足以来の最低記録を更新した。J-CASTコメント欄では、TPP交渉参加と消費税増税決定、秘密保護法が響いたのではという見方も出ている。熱烈な支持層からは、いつまでたっても靖国神社に行かないことへの苛立ちの声も寄せられていた。年末の参拝で、そのあたりの不満にはこたえた形だが、海外からは批判ラッシュ。米国からも「失望」の声が届いたのは想定外だったかもしれない。

   株が上がり、「アベノミクス」が新語・流行語大賞のベスト10入りをするなど、主に経済の面では好調に推移したとされる安倍首相。ところが、日本経済新聞社とテレビ東京による12月20~22日の世論調査によると、「来年は今年より景気が良くなると期待できる」が39%、「期待できない」が49%と、先行きを不安視する見方が多くなっている。消費税の引き上げなど家計の「負担増」がどう影響してくるのか。来年は安倍首相とアベノミクスの真価が問われることになりそうだ。

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