2024年 4月 30日 (火)

地方発、若者たちの起業が脚光浴びる 「キャバクラドレス」や「魚の直販」「伝統工芸」…

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   景気が回復基調に乗ったこともあって大卒の採用計画が増える半面、起業を希望する人が減っている。不景気が長かったため、「安定志向」が高まっていることもある。

   そうした中で、地方発の若者たちの起業が注目を集めている。キャバ嬢から転身してパーティードレスの販売店を起こしたり、女性ながら多くの漁師をまとめて水産会社を立ち上げたり、とパワフルだ。

起業志望者、バブル期から半減の84万人

次世代リーダーを紹介(画像は「キミハツプロジェクト」WEBサイト)
次世代リーダーを紹介(画像は「キミハツプロジェクト」WEBサイト)

   2015年春に向けた採用活動は、面接などの選考が14年4月1日に解禁されたばかりだが、内定を早めに出して、優秀な学生を囲い込もうとする企業が目立つという。

   アベノミクス効果による景気回復で企業の業績も回復している。採用にも積極的で、全体的には今春実績と比べて16.6%増の11万1505人の採用が予定されている(日本経済新聞の採用計画調査)。10万人を突破するのはじつに6年ぶりのことだ。

   半面、新たに会社を起こそうとする「起業希望者」の数は、バブル期の1987年の178万人から、2012年は約半分の84万人に落ち込んだことが経済産業省の調べでわかった。長引く景気低迷で安定志向が強まり、積極的に起業するリスクをとろうという人が減ったとみられる。

   「自己資金が不足している」「ビジネスのアイデアが思いつかない」「財務や税務、法務に関する知識が不足している」……。たしかに、起業へのハードルは低くない。 そこを打ち破った若い女性が注目されている。

   その一人が、パーティードレスを販売する「sugar」の社長、清水彩子さん(31)だ。清水さんは新潟市で、「キャバクラドレス」をインターネットとショップで販売している。もともと東京でキャバ嬢として働いていたが転身。当時の新潟市内にキャバクラドレスを取り扱うショップは1軒もなく、「絶対にウケると思っていました」という。

   自分がドレスを着て飛び込み営業を行うなどユニークなセールスで売り上げを伸ばし、その活動は人気モデルにも注目され、反響を呼んだ。今では従業員35人、年商9億円の会社に成長。ドレスを着て楽しめる場所を、とパーティーを企画・開催するなど、地域活性化にも一役買っている。

   また、坪内知佳さん(27)は、荒くれ者の漁師58人をまとめた水産会社、「萩大島船団丸」の代表を務める。仕事は魚の直販。山口県萩市沖の日本海で獲れたばかりのアジやサバを船上で箱詰めして送る。すぐに血抜きするため、旨みを凝縮したまま、鮮度のよい魚を大阪や東京の料理店まで直送するのが「売り」だ。

   学生時代にカリスマ販売員を経験した坪内さんは取引先の確保に、漁師を連れて東京・広尾の高級フレンチ、ア・ニュルトゥルヴェ・ヴーなどを訪問。魚を獲ることだけが仕事だった漁師たちに、発送に手間をかける理由を説きながら、半年で20軒を開拓したという。

   こうした前向きにがんばる若者を応援するサイトもある。大塚製薬のオロナミンCは「キミハツプロジェクト」として、未来を「ハツラツにする」次世代のリーダーたちを紹介している。清水さんや坪内さんもこのサイトに掲載された。

地域の「つくり手」と、全国の「使い手」を結ぶ仕事

   地方の男性も負けていない。

   北海道の梶原一生さん(30)は、地元の農家がつくる小豆や穀物類などを菓子メーカーに卸す農産物総合商社の常務取締役。地元・十勝の自然や名産を広めるため、自ら小豆や豆を原材料とした商品開発に取り組む一方で、「十勝のよさ」を体現する観光事業として、「十勝ヒルズ」を立ち上げた。

   現在、十勝ヒルズへの来訪者は2008年の11倍に伸びた。

   鳥取市の幸田伸一さん(34)は、「中古農機具」を海外に直接輸出する「旺方トレーディング」の社長だ。会社を立ち上げたのは21歳のとき。農家は高齢化が進行、耕作が放棄されれば、農機具もいらなくなる。まだまだ働けるのに倉庫に置かれたままのトラクターやコンバインといった中古の農機具に目をつけた。

   欧米製の大型の農機具に比べて、日本製は小さくて使い勝手がよい。一方、輸出先の東南アジアなどの農家はいまも人手や家畜に頼って耕作しているところが少なくない。中古農機具であれば、安く提供できてマッチッグしやすいというわけだ。

   また、福岡県の白水高広さん(28)は、筑後地方を中心に九州の魅力的な「こと」や「モノ」を発信するアンテナショップ「うなぎの寝床」の代表を務める。地域の過疎化対策として雇用確保に動いた。

   地域に豊富にある自然や伝統素材を用いて、売れる商品をつくり出し、販売する。包丁、うちわ、独楽……、伝統工芸や食品といった決まった商品ではなく、地域の伝統工芸職人らと連携しながら、さまざまな商品を取り扱う。地域の「つくり手」と、全国の「使い手」をつなぐ役割を担っている。

   就職で悩んだら、地方に目を向けてみるのもいいかもしれない。

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