2024年 5月 4日 (土)

高橋洋一の自民党ウォッチ
「集団的自衛権」世論調査、各社にバラつき 「質問の言葉」定義が適切なのは産経・読売

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限定的行使が当たり前

   刑法36条をみれば、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」(第1項)と、他人を守ることも含まれている。これは世界共通だ。この他人を他国と置き換えれば集団的自衛権である。もちろん、個別的・集団的を問わず、自衛といってもあくまで正当防衛で、過剰防衛になっていけなのと同じように、いろいろな制約がある。

   この観点から、報道各社の集団的自衛権の定義をみると、産経・読売の「反撃」のほうが適切だ。

   次に、日本の憲法解釈として、集団的自衛権を行使できないとしてきた点について、事実としては正しい。ただし、戦争放棄の憲法は日本だけでない。日本国憲法第9条は、1928年の「戦争放棄に関する条約」に由来しており、同条約は戦後の世界各国で憲法に影響を与え、韓国、フィリピン、ドイツ、イタリアの憲法でも戦争否認されている。しかし、これらの国で集団的自衛権を行使できないという話はなく、日本だけの特異なことだ。とすれば、これまで憲法解釈が誤ってきたともいえるので、誤ったことを強調するのはどうか。なお、朝日・毎日のように、集団的自衛権で「戦う」と表現するのは、日本を含めて戦争否認の国において、適切でない。

   また、集団的自衛権を「他人に対する正当防衛」と考えれば、限定的行使が当たり前である。むしろ、限定的行使をわざわざ言わざるをえない現状の方が、問題である。それだけ、集団的自衛権=戦争という誤った理解がいかに多いかを示している。

   ただ一つ、「日本への攻撃とみなして」は各社共通で、正しい。しかし、この点については、公明党は「個別的自衛権の延長で対応可能」と主張しており、矛盾していることを各社は見逃している。というのは、公明党は、自国が攻撃されたと見なして、個別的自衛権の行使であって、集団的自衛権でないというロジックだ。これは、各社の定義によっても「集団的自衛権の行使」以外の何者でもない。公明党のロジックは、「私は女です、しかし男です」というのと同じだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。


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