2024年 4月 25日 (木)

球界関係者があきれる「プロ野球16球団」構想 「大金持ちの道楽」でなければできない

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   ついにプロ野球にまで手を突っ込んできた。2014年5月26日、自民党が「プロ野球16球団」構想を提言。アベノミクスに沿ったものらしいが、球界関係者は突飛な話にあきれるばかりだ。

   ことの起こりは自民党の日本経済再生本部(本部長・高市早苗政調会長)による「日本再生ビジョン」の安倍晋三首相への提言。「日本遺産」創設などとともに、プロ野球の球団数を現行の12から4増加して16に、というもの。

黒字経営が何球団か知っているのか

「プロ野球市場の拡大を通じての地域活性化」

   これが狙いで、アベノミクスの新しいタマということらしい。与党の提言なのだから、それなりの計算があってのことなのだろうが、プロ野球に携わる人たちは、雲をつかむような話に、驚くよりあきれかえっているのが実情だ。

「現在の12球団のうち、黒字経営がいくつあるのか知っているのか」
「4球団増やしたら何人の選手が必要か分かっているのかね」

といった声が球界関係者から挙がっている。

   ちなみに黒字とはっきり言えるのは巨人と阪神ぐらい。なにしろ収支決算をほとんどの球団が明らかにしておらず、不透明な一面を持っている業界なのだ。

   さらに選手数は、現在1球団に最低70人。280人の選手をいきなり必要とする。

   こんな簡単な疑問がすぐ出てくる。政治家の先生方だから確たる根拠があるのだろう。そのデータを見せてほしいと思う。

球団経営は人件費が7~8割

   その4球団のフランチャイズ候補は南九州や沖縄、四国、静岡、北陸などで、政治的には「球団空白地」というのだそうだ。

   沖縄は春のキャンプを張る球団が多い。四国は野球王国と昔からいわれている。静岡は昭和9年の日米野球で沢村栄治がベーブ・ルースやルー・ゲーリッグらから三振を奪った投球が語り伝えられている草薙球場がある。

   それなりの縁があることは理解ができるけれども、球団経営のビジネスとなれば話は全く別だ。1年きりのことではなく、長期間の運営となると、容易にできる話ではない。

   球団経営は(1)資金、(2)選手、(3)場所が三大条件。選手は質と量、不足分を韓国や台湾から獲得するというのか。場所は3万人以上の観客動員数、練習場などの設備。これだけでも手当するのに大変だ。国の補助金で球団経営することになりかねない。

   収入は入場料、テレビ放映、グッズ販売などがメイン。1試合1万5000人を収容しないとペイできないといわれている。テレビ放映は減少の一途にあり、とても計算できる状況にない。大リーグは駐車場収入が大きいのだが、土地の狭い日本では無理。

   自民党はどうやら懸案の「沖縄対策」にプロ野球を絡ませた、との話も流れている。カジノとセットで進めるつもりなのかもしれない。

   この球団拡大は瞬間の話題にはなるだろうが、議論すればするほど難しいことに気がつくだろう。プロ野球の球団が増えることは全国のファンにとっては歓迎だろう。しかし、現実的には、球団経営は人件費が7割から8割ぐらい占めるといわれる異常形態。現状では堅実で安定した企業は手を出さないだろう。「大金持ちの道楽」でなければできないといっても過言ではない。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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