2024年 4月 27日 (土)

選手にそっぽ向かれた西武・伊原監督「休養」 「暴風雨でも屋外ランニング」で亀裂決定的に

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部下が上司の能力を判定する時代に入った現代を象徴

   この伊原休養のポイントは、選手に背を向けられた監督がグラウンドから出て行った、ということである。これまで多くの監督が選手に信頼を失って辞任しているが、こんな短期間で追い出されるのは珍しい。

   サラリーマンの世界でいえば、中間管理職の課長、部長が部下をコントロールできずに異動されるようなものだ。上司が部下を査定する時代から、部下が上司の能力を判定する時代に入った現代を象徴しているような、西武監督の突然の失脚といっていい。

   指導者伊原の評価は実に高い。

「相手が監督であれ選手であれ、伊原さんはハッキリとものを言う。相手にこびを売ったり、ゴマをするようなことはしない人だ」

かつてタイトルを獲得したことのある元選手はそう振り返っている。

   原辰徳監督の下でコーチを務めていたころ、交流戦で楽天と対戦。終盤の失敗を相手の野村克也監督から批判されると、マスコミの前で堂々と論陣を張った。それどころか翌年には楽天に4連勝したあと、前年批判された言葉をそっくり言い返した。

   相手が大物であろうと向かっていく。西武のコーチ時代にも監督とぶつかってひるまなかった。

   伊原が西武の選手に身だしなみを言うのは、強いチームであれ、ということなのだ。巨人はヒゲは許さないし、大リーグのヤンキースもそう。かつて西武は黄金時代を築いた実績があり、そのころはきちっとしたチームカラーだった。

   雨中の練習は強豪チームは当たり前のごとく行っている。巨人V9時代の川上哲治監督は多摩川グラウンドで、火をたかせてボールを乾かしながら打ち込みをさせた。長嶋茂雄、王貞治といったスーパースターはそうやって超一流になっていった。

   「現代の選手には相容れられない古いやり方」との声を背に伊原はユニホームを脱いだ。伊原は選手の不満という豆をぶつけられた鬼のような格好だが、彼の実力からして復活の可能性はある。西武のフロントも短期間で辞められてはメンツがないだろうに。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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