2024年 4月 16日 (火)

高橋洋一の自民党ウォッチ
時間規制撤廃「1000万円以上」で合意 「本当の勝利」に笑ったのは厚労官僚

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   民間の労働時間規制について、とうとう改革の方向性が出たようだ。年収1000万円以上の人を対象にするということで、政府内の合意ができた。

   「その対象者は管理者を含めても3.8%」などの点は、1か月前の本コラム(「残業代ゼロ制、多くの人には無関係~」)でも指摘した。今回は、厚生労働省官僚の視点から考えてみよう。

マスコミの「適用除外イコール残業代ゼロ」は、ミスリーディング

   議論になっていたのは、労働基準法を適用する労働者をどうするかということだ。産業競争力会議の民間議員は、欧米並みに、労働時間数で仕事の内容を測れない一定割合の労働者に対し、労働基準法の適用除外を求めた。これに対し、一部マスコミが「残業代ゼロ」とのネーミングで、あたかもすべての労働者の残業代をゼロにするかのような報道をした。

   そうした報道がなされた場合には、厚労官僚は、「労働基準法の適用除外という意味で、残業代ゼロでない」というべきだった。その一番の好例は、国家公務員である。国家公務員は、実は労働基準法の適用除外である。しかし、残業代は残業時間にリンクしない形で、満額ではないものの残業予算を配分することで支払われている。要するに、「適用除外イコール残業代ゼロ」というのは、ミスリーディングなのだ。

   ところが、厚労官僚はそうした説明を行ったフシはない。こんな話は国家公務員であれば、誰でも知っていることであるが、マスコミ報道では見かけない。そこで、1か月前の本コラムで「官より始めよ」といったわけだ。

   なぜ、厚労官僚は「残業代ゼロではない」といわなかったのか。官僚の習性として、自己の権限を確保しようとするので、自分の所管法律の適用除外は本能的に避けようとする。そこで、産業競争力会議の民間議員が、欧米並みの適用除外を求めてきたときに、残業代ゼロと誤解されれば、国民からの反発が強くなることを予見できるので、残業代ゼロというネーミングを放置したのだろう。

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