2024年 4月 27日 (土)

日本初の「ロボット白書」まとまる 今後20年で10兆円市場に成長と予測

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   ロボットを取り巻く課題などを掘り起こし、ロボットビジネスの活性化を目指して日本初の「ロボット白書」がまとめられた。

   白書は高齢化や人口減少が進む中、産業分野だけでなく我々の生活にもロボットが浸透していき、今後20年で今の10倍程度に相当する10兆円市場に成長すると予測している。

利用者の視点から今後の課題と提言

未来の人間はロボット無しでは暮らせない?(画像はイメージ)
未来の人間はロボット無しでは暮らせない?(画像はイメージ)

   独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2014年7月中旬にまとめた白書は「社会を変えようとするとき、そこにロボット技術がある!」と銘打つ。ロボットビジネスを確立するために技術者や開発者でなく、利用者の視点から今後の課題と提言をまとめているのが特徴だ。

   白書は7章構成で、第1章のロボットの基本的な解説である「ロボットについて」から始まり、「ロボット利用の意義・必要性・取りまく環境」「産業用ロボットの現状と課題」「生活とサービス領域でのロボット化事業について」「フィールドロボットの現状と課題」などと続く。

   これまで産業用が中心だったロボットだが、最近では医療や福祉、農業などにも利用が拡大していると説明。特に災害対応と福祉・介護分野への活用に大きな期待が寄せられており、「サービス用ロボットの市場が作られつつある」と指摘する。

   具体的には、日本は超高齢化社会に突入し、高齢者などの身体機能の補助、介護者の負担軽減などへのロボット活用への期待が膨らんでいる。また、東日本大震災以降、災害対応ロボットへの関心も大きくなっており、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉に向け、「さらなるロボット技術の開発・投入が求められている」と強調している。

韓国、中国との差は小さい

   社会のロボット化の進展に伴い、国内の市場規模は2015年に1兆6000億円、2020年には2兆9000億円、2025年は5兆3000億円、2035年に9兆7000億円に成長すると予測。そのうえで、日本が抱える多くの課題の解決に向け、ロボットの果たす役割は非常に大きくなるとしている。

   一方、産業用ロボットでは日本の生産額は世界一と、依然として高い技術を持っているが、米国やドイツ、韓国、中国との差は小さくなり、「諸外国に追い抜かれつつある」と指摘。国としての見通しを持った「骨太な方針が求められている」と訴ええている。

   NEDOがこうした白書をまとめた背景には、日本が「ロボット大国」と言われながらも、海外勢からの追い上げにさらされ、電機産業のように「技術で勝ってビジネスで負ける」という悪夢への強い危機感があるから。政府もロボット市場の可能性の大きさに着目し、安倍政権がまとめた成長戦略にも盛り込まれた。

   白書は今後も2年ごとに改訂版をまとめる方針だというが、欧米を中心に軍事ロボット開発を行い、民生用に転用も可能な海外勢はやはり強敵。それだけに改訂を重ねるうちに「技術でも負けた」という表現が加わる可能性も完全に否定はできないところ。今後の日本のビジネス展開と技術開発がどう進むかが注目される。

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