2024年 4月 27日 (土)

「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(12・終)
政治は冷えても経済関係は悪くなっていない 日中は「政経分離」でいけばいい
キヤノングローバル戦略研究所・瀬口清之研究主幹に聞く

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中国は一流企業にとっては絶対負けられない市場

―― ですが、報道で日本に伝わってくる限りでは、そうは思えません。

瀬口: 中国で成功している企業は、中国マーケットが日中の政治の影響を受けないことを実体験として知っています。ただ、中国マーケットは、全世界の超一流企業が入ってくる上に日本ほど参入障壁が高くないので、本当に「がっぷり四つ」の闘い。日本企業でも世界で戦えるところでなければ生き残れません。そして、そのような日本企業は必ずしも多くありません。

   中国で成功できない日本企業は、製品が売れない理由を日本の本社に対して自社の努力不足」だとは言えずに「尖閣のせい」だと言う。報告を受けた本社は、それを鵜呑みにし、メディアにも同様のことが書いてあるので、「うちもやられた。やっぱり中国は難しい」と納得してしまいます。

―― それにしても、「日本企業が中国で儲かっている」という話は全然聞きません。なぜでしょうか。

瀬口: 中国でうまくいっているという話になると、「では、いくら儲かったのか」となる。以前は年に数十億程度でしたが、最近は年に100億、1000億単位で利益をだす企業が続出しています。今の日本国内の状況では「あの企業は中国でもうけている」と言われることは、決してブランドイメージを高めません。ですが、中国は一流企業にとっては絶対負けられない市場で、「中国で負けました」となると、世界に出て行けなくなります。日本だけではなく、米国、韓国など、世界の一流企業はみんなそうです。

―― 先ほど、中国から日本への観光客が激増しているという話がありました。日本への観光客を増やすことは、日本の成長戦略の柱のひとつです。今後も増えるのでしょうか。仮にボトルネックがあるとすれば何でしょうか。

瀬口: 13年に日本を訪れた中国人の数は約131万人で、今の伸び率が続けば14年は260万人。数年で300~400万人はいくでしょう。ビザを免除したタイ、マレーシアの日本への観光客は大幅に増えています。中国も免除すれば、すぐに700万人に届くでしょう。中国ビジネス業界では、2020年には「中国人だけで1000万人を超えるだろう」という見方も出ています。政府は2020年までに訪日外国人数を2000万人に増やす目標を掲げていますが、その半分が中国人でクリアできるというのが今の成熟した日中関係です。
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