2024年 4月 19日 (金)

福島産バターの使用決めた「銀座ウエスト」 脱原発派の批判にも「513年間食べなきゃ基準値に達しない」

   リーフパイで有名な老舗洋菓子店「銀座ウエスト」が菓子に使用するバターの一部を福島産に切り替えると告知したところ、大きな反響を呼んでいる。

   公式ツイッターアカウントには一部の人たちから問題視する声が相次ぎ寄せられることとなったが、その後も社としてのスタンスを表明。揺るがない姿勢が多くのファンから支持されている。

「いたずらに敬遠する事は風評被害を拡大する」

「1日1個食べ続けて513年」と計算(画像は24日投稿ツイートのスクリーンショット)
「1日1個食べ続けて513年」と計算(画像は24日投稿ツイートのスクリーンショット)

   同社は2014年9月3日、看板商品のドライケーキ「ヴィクトリア」と生ケーキ用バタークリームに使用する無塩バターの約27%について、9月1日以降の仕入れ分から福島産原乳を使用したものに変更するとツイッター上で告知した。

   福島県内の各乳業施設は毎週1回、放射性物質調査を実施している。牛乳のセシウム(134、137)基準値は50Bq/kg。検出下限値は測定条件や測定試料によって毎回異なるが、ここ1年の値を平均すると2~4Bq/kg程度だ。調査結果をみると、飯館村の乳業施設で5Bqのセシウム137を検出した2011年5月以降は検出下限値を下回っている。

   銀座ウエストはこの調査結果に触れた上で、

「科学的根拠に基づき、安全が確認されている以上、いたずらに福島産食品を敬遠する事は風評被害を拡大することにほかなりません。ウエストでは安全が確認された福島産食品を今後継続使用していくことを考えております」

と表明した。

   ツイートはすぐに反響を呼び、「断乎支持します。優れた材料を自ら評価して使うのは、立派な見識」「こういう形で復興支援になるのであれば、喜んで力になりたいと思います」といった支持の声が数多くあがった。

   しかし一方で一部から疑問や非難の声も寄せられた。送り主はおもにプロフィール欄に「脱原発」「反放射能」などと書かれた人たちで、

「うわぁ。。もうWESTのお菓子は買えない...」「放射能汚染の酷い銀座だけに、脳被曝してるのかしら?」「銀座ウエストが福島産食品使用を宣言とは!また人生の楽しみがひとつ減った。さらばリーフパイ。さらばウエスト」

などと今回の決断を問題視した。

   銀座ウエストもこうした反応があるのは覚悟していたようで、4日には「多くのご批判を覚悟の上でのツィート(原文ママ)でしたが、思った以上のご賛同を頂き、驚くと同時に勇気も頂き、本当にありがとうございました」とツイート。その上で、自社だけでなくすべての食品会社が安全と判断した福島産食品を臆さず使用していくことが早期復興につながるとの思いを綴った。

次々回答「バター価格が産地により安くなることはない」

   しかしその後も放射能被害を心配する一部の人たちからの反論はなかなか収まらない。同社アカウントは、

「最終的には、消費者の皆様其々のお考えに従ったご判断に依る事になりますので本アカウントをこれ以上ベクレル論争の場とする事は本意ではありません」

と議論の収束を求める一方で、いくつかの疑問には真摯に回答を続けた。

   たとえば、福島産バター使用の告知の有無について聞かれると「この程度の放射線が健康に影響を与えることがないとの判断により決定した事ですので、店頭や箱の原材料表示に明記する予定はありません」とコメント。

   測定値が変化した場合の対応については「下限値~国の基準値までの数値が出た場合公表、放射性セシウムの新基準値50Bqを超えた場合は当然使用中止いたします」との見解を示した。また、福島産使用はコストカットのためではないかとの指摘に対しては「弊社に関してはバターの価格が原乳の産地により安くなることはありません」と否定した。

   24日には、看板商品「ヴィクトリア」1個当たりのセシウム量を計算(原乳から精製バターに移行する放射性物質を最大4%、測定下限値を最大3Bq/Kgで試算)し、「50Bqに達するには1日1個食べ続けて513年掛る事が判りました」と途方もない数字を叩き出した。

   J-CASTニュースでは詳しい話を聞こうと取材を申しこんだが、24日にツイッターで「幕引き」としていたこともあって応じてもらうことはできなかった。

   同社がこうしたスタンスを取ったのは今回が初めてではない。公式ツイッターでは震災後すぐの2011年4月の時点で、安全性が確認された食品は福島産であっても使用するとの意向を表明していた。同時に「皆が疑心暗鬼になって公の発表を信用できなくなった時こそが『食の安全』の危機ではないでしょうか」とも消費者に呼びかけていた。

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