2024年 4月 29日 (月)

全トヨタ労組、2年連続ベア要求へ 来年の春闘、早くも動き出す

2014年春闘と違う経済環境

   アベノミクスというと聞こえはいいが、私企業内の議論への政府の介入でもある。組合側としては複雑な心境でもあるが、2014春闘で反転した攻防の流れを維持したい考えだ。上部団体の自動車総連や電機連合も既にベアを打ち出す構えを見せている。

   東・前会長は消費増税や物価上昇という現状を踏まえ、「景気が腰折れしかけている。賃金が上がらないと経済は完全に折れる。(2015年春闘は)間違いなく(2014年春闘より賃上げの)重要性が高まっている」と強調した。昨年4月に始まった日銀による異次元緩和が呼び寄せた円安により、円建ての輸入価格が上昇したことを主因に国内物価は上昇を続けている。さらに今年4月には消費税率が5%から8%に増税されたことで、消費者の実質所得は減少。増税と物価高はじわりと消費者心理にダメージを与えており、消費税率10%への再増税に対する慎重論も根強い。

   こうした中、ベアを続けないことには景気が悪化する恐れがある、という組合側の主張には一理ありそうだ。しかし、経営側としても世界的な競争環境が厳しくなる中、「賃上げすることで国内生産を維持できなくなる」(自動車大手幹部)と譲らない構えも見せる。業績下方修正を繰り返すソニーの名をあげるまでもなく、日本の電機メーカーにかつての輝きはない。自動車メーカーも円安の恩恵が一巡し、業績の伸びが継続的に見込める状況ではないのも事実だ。

   2014年春闘で賃上げを強力にプッシュした政府も、2015年春闘では「もっと(賃上げを)しろと政府が言うべきではない」(麻生太郎財務相)などとやや腰が引けた印象だ。 来年3月までの長い綱引き。ある程度結果が見えていた2014年春闘と違い、日本経済の先行き不透明感を反映して、厳しい攻防となりそうだ。

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