2024年 5月 5日 (日)

WOWOW「錦織効果」で業績上方修正 「独り占めさせない」、地上波も争奪戦に参入

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   有料の衛星放送「WOWOW」の躍進が止まらない。

   テニスの錦織圭選手の活躍のおかげで加入件数が増加し、業績も好調に推移しているため、2014 年10月末には2015年3月期の連結業績予想を上方修正した。

独占中継で加入者増加

「錦織効果」で躍進止まらず(画像はWOWOWのホームページ)
「錦織効果」で躍進止まらず(画像はWOWOWのホームページ)

   売上高は、従来予想の715億円から過去最高となる723億円に引き上げた。さらに営業利益も85億円(従来予想比6億円増)、経常利益は90億円(同10億円増)、純利益が57億円(同6億円増)といずれも大幅な上方修正した。

   WOWOWの躍進は業界で「『錦織効果』のたまもの」と言われており、9月に錦織選手が日本人初となる男子シングルス準優勝を果たした全米オープンテニスを独占生中継したおかげだ。地上波での生中継がなかったため、錦織選手目当てとみられる加入者数が急増。9月の新規加入件数は15万3273件を記録、9月末の総加入件数も276万3000件に達し、いずれも1991年の開局以来最高となった。

   この「加入件数の増加が通年寄与」(WOWOW)したおかげで、来年3月末の総加入件数も従来予想の267万8000件から271万8000件に引き上げた。WOWOWはテニスが追い風となった上期の流れを持続したうえで、下期はドラマや音楽、映画を中心に攻勢をかける考えだ。

   躍進の原動力となったテニスだが、WOWOWは1992年から4大大会のうち、全豪、全仏、全米を放送し、2008年からは全英も開始。業界では「テニスはテレビ的にメジャーと言えないスポーツ」とされるが、20年以上にわたって地道に放送を続けており、テニスファンには「テニスといえばWOWOW」と人気も高い。

   WOWOWもテニスを人気コンテンツに育てようとホームページに「Tennis online」を開設。錦織選手の特集ページも設け、プロフィールは当然のこと、全米オープン決勝までの軌跡、2011年からのツアースケジュールと戦績、錦織選手に関するコラムなどを取りそろえ、「テニスを見るならWOWOWへ」と加入を呼びかけるほどだ。

放送時間が読めない悩み

   WOWOWに「特需」をもたらした「錦織効果」だが、地上波での争奪戦がこれから本格化しそうだ。全米オープン終了後、テレビ東京は9月末に錦織選手が出場する楽天ジャパンオープンを地上波で独占放送すると発表した。錦織選手のコンテンツとしての高い魅力を改めて示した一方、来年1月に迫った全豪テニスの放映権をどこが取得するかが注目されている。

   ただ、テニスは試合時間が読めず、「幅をもたせた編成が必要となる」(放送関係者)ため、地上波向きではないとの指摘もある。20年以上も放送を続けてきたWOWOWにでさえ試合時間が長くなり、テニスファン以外から苦情が寄せられたこともあったという。

   楽天ジャパンオープンでも錦織選手が決勝に勝ち上がり、テレ東が緊急で10月5日の昼間に生中継したが、試合が枠内に収まらずに途中で放送を終了してしまった。ネット上ではテレ東に批判が集中したが、一方で男子テニスは実力が伯仲しており、お目当ての選手が早々に敗退するケースも珍しくない。

   関心が高まっているのがテニスそのものでなく、錦織選手個人であるだけに、生中継時のリスクにどう対応していくかが地上波での課題となりそうだ。

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