2024年 5月 5日 (日)

スカートが苦しくなったら危険信号! ワンサイズアップで乳がんリスク3割増加

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   女性の皆さんに質問です。スカートのサイズは何号ですか? そのサイズは20代のころと比べて上がっていますか?

   失礼な!と言わずに、過去10年間のスカートサイズの変化を振り返っていただきたい。「20代のころは9号が楽に履けたのに、今は11号でも苦しい」。そんな方はご用心。スカートサイズが10年間にワンサイズ上がると、閉経後の乳がんのリスクがおよそ3割も増すという研究報告がある。

ワンサイズアップで33%、2サイズでは77%も

近畿大学医学部教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長の山田秀和氏
近畿大学医学部教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長の山田秀和氏

   医療情報サイトBMJ Openに論文を発表したUniversity College of LondonのEvangelia-Ourania Fourkala氏らは、英国卵巣がんスクリーニング共同試験(UKCTOCS)に参加した閉経後の女性約9万3,000人のデータを用い、中心性肥満(腹部肥満)の経年的変化と閉経後の乳がんとの関連性を調べた。その結果、25歳から閉経するまでの期間のうち、10年間にスカートサイズがワンサイズ上がると、閉経後の乳がんのリスクが33%、2サイズでは77%まで上がるというデータが示された。

   イギリス人と日本人とでは体型が異なるので、まったく同じことが当てはまるかどうかはわからないが、これまでにも肥満が乳がんのリスクを高めることは多くの研究で指摘されてきた。肥満をスカートサイズで表した今回の報告は、洋の東西を問わず、女性にとってわかりやすい指標と言える。

日本人は閉経前でも肥満で乳がんリスク増

   一方、日本でも2014年10月、独立行政法人国立がん研究センターが日本人女性を対象にした肥満と乳がんとの関連について調査報告を発表した。この報告によると、閉経前後ともにBMI(肥満度)が大きくなると乳がんリスクが高くなり、閉経前ではBMI最大群(30以上)でのリスクは基準値(23以上25未満)の2.25倍になったという。また閉経後では、BMIが1上がるごとにリスクが5%上昇するという関連性も見られた。

   同センターによる最新統計によれば、乳がんは女性のがん罹患数の部位別ランキングで1位(2010年)。罹患率は10万人に対し130.6人で、生涯に罹患する割合は12人に1人だ。

   「日本で乳がん患者が増えている理由は、食生活の変化や飲酒による影響もありますが、初潮が早まり、閉経が遅くなったこと、初産年齢が上がったこと、出産や授乳経験のない女性が増えたことなど、社会的な変化が挙げられます」と話すのは、近畿大学医学部教授で、抗加齢医学を専門とする山田秀和氏。

   「意外と知られていないことですが、欧米人と比べ、日本人にはデンスブレストと言って乳腺の濃度が高い女性が多い。これも乳がんの重要なリスクファクターです。また、身長が高い人や骨密度が高い人も乳がんになるリスクが高いと言われています」。一般に、体型がしっかりしていて骨密度が高いことは健康長寿の条件と考えられるが、乳がんリスクを高めることは認識しておきたい。

乳がん予防には定期健診とアンチエイジング生活

   死亡率についてはどうか。2012年のデータを見ると、日本人女性の乳がん死亡率は10万人に対し19.4人。WHOが公表している同年の乳がん死亡率の推計によれば、日本人の死亡率は他国と比べて低いものの、欧米諸国は低下傾向にあるのに対し、日本はじりじりと増加している。

   その理由について山田教授は「乳がんは治癒率が高い病気ですが、それには早期発見が欠かせません。残念ながら日本は他国と比べて検診率が非常に低い。乳がんに対する知識も不足していると感じます」と指摘する。

「先述したデンスブレストのために、マンモグラフィで腫瘍と判別しづらく再検査となるケースもありますが、最近ではより精度の高い診断装置も開発されています。自治体で配布される無料クーポンなども活用して、ぜひ検診を受けていただきたい」

   乳がん予防の第一歩は、個人の意識を高めることだという。ほかに有効な対策を聞いた。

「食事や運動を含め、生活スタイルを見直すこと。とくに閉経後は肥満に注意しましょう。運動は乳がんの進行を遅らせるという報告もありますから、万が一乳がんにかかっても体を動かした方がいい。抗加齢医学ではがんを炎症の一部と捉え、食事制限や運動によってエネルギーバランスを負にすることで炎症がよくなる点に注目しています。アンチエイジング的な生活は、がん予防につながると考えています」

   乳がんの発症は40代から50代がピーク。スカートがちょっと苦しくなってきたかなと思ったら危険信号だ。新しいスカートを買うよりも、今のスカートが楽に履ける体型を維持したい。[アンチエイジング医師団 取材TEAM]


参考論文

Association of skirt size and postmenopausal breast cancer risk in older women

doi:10.1136/bmjopen-2014-005400


アンチエイジング医師団
「アンチエイジングに関する正確で、最新かつ有効な情報」を紹介・発信するためにアンチエイジング医学/医療の第一線に携わるドクターたちが結成。 放送・出版などの媒体や講演会・イベント等を通じて、世の中に安全で正しいアンチエイジング情報を伝え、真の健康長寿に向き合っていく。HPはhttp://www.doctors-anti-ageing.com

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