2018年 12月 14日 (金)
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日銀の異次元緩和2年、「公約」空手形に? 物価上昇率2%の達成期限が迫ってきた

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   日銀が黒田東彦総裁のもと、大規模な量的・質的金融緩和(異次元緩和)に乗り出してから2015年4月で丸2年となる。13年4月に異次元緩和を導入した際、物価上昇率2%の達成期限を「2年程度」と掲げたが、足元の消費者物価の伸び率は原油価格急落に直撃されて0%台で推移しており、達成は遠のいているのが現状だ。

   日銀は2015~2016年度に2%に達するとして「2年程度」の旗を降ろさない構えだが、達成が2016年度になれば事実上3年を要することになり、日銀の「公約」は空手形と化しつつある。

従来のシナリオを崩さず

「袋小路」に入りつつある...(画像はイメージ)
「袋小路」に入りつつある...(画像はイメージ)

   日銀は1月21日の金融政策決定会合で、中期的な経済、物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を改定し、2015年度の物価の見通しを従来の「1.7%」から「1.0%」に大幅に下方修正した。平均1.7%なら「ほぼ目標の2%へ届いている」と説明できそうだが、平均1.0%は到底、合格点とはいえない水準だ。

   この見通しに沿えば、物価が2%に達する時期も遅れる可能性が高く、2年程度での達成は難しいと認めることが自然に思える。だが、黒田総裁はこの日の記者会見で「物価は2015年度を中心とする期間に2%に達する」と従来のシナリオを崩さなかった。

   原油価格の下落は日本経済にとってプラスであり、日銀の昨年10月の追加緩和の効果もあって、人々のデフレマインドの転換が着実に進みつつある――というのがその理由。つまり、物価は当面、原油価格の下落で下押しされるが、その後は急カーブで伸びを加速させ、予定通り「2015年度を中心とする期間」に2%に届くと強弁しているのだ。

   展望レポートでは、原油価格下落による物価への影響はマイナス0.7%程度という試算までわざわざ公表し、言外に「原油価格の下落がなければ、日銀の見立て通りに物価は上がっていた」とにおわせた。

「メンツにこだわって旗を降ろせないだけ」との指摘も

   あくまでも自らのシナリオに固執する日銀だが、筋書き通りに「2015年度を中心とする期間」に2%に達したとしても、異次元緩和を導入した当初の目論見からは既に遅れているといわざるを得ない。日銀執行部は導入時、「2%は2年ぐらいで達成しなければいけない」(岩田規久男副総裁)と強調し、2015年春ごろの達成を当然視していたからだ。

   だが、原油価格の下落や消費増税後の景気低迷で目算が狂ったのは誰の目にも明らか。黒田総裁は1月21日の記者会見で「2015年度を中心とする期間」について、「2015年度中とは言っていない。(2016年度にずれこむ)若干の余地はある」「原油価格の動向によって多少前後する」と述べ、達成に3年を要する可能性を認めた。

   記者からは「2016年度なら3年かかることになる。『2年で2%』という日銀のコミットメントを弱めたのか、それとも始めからそういう意図だったのか」と質問が投げかけられ、黒田総裁が「始めからそう申し上げていた」と気色ばむ場面もあった。

   日銀は正式には「2年程度の期間を念頭に、できるだけ早期に2%の物価安定目標を達成する」と掲げていることから、黒田総裁は「(2年後の)2015年4月に2%になるとか、ならないといけないと言ったことはまったくない」と語気を強め、目標達成が2016年度にずれ込んだとしても約束破りにはならないと強調した。

   4月以降、2年で目標を達成できなかったにもかかわらず「2年程度を念頭」と唱え続けるのは説得力に欠け、市場では「メンツにこだわって旗を降ろせないだけ」(アナリスト)との厳しい見方もあるが、日銀は「期限を区切ることでデフレ脱却に対する日銀の本気度を示す」(幹部)として当面、修正する気はないようだ。

   もちろん、日銀がとにかく2%達成を急げばよいかというと、そうとも言い切れない。異次元緩和による急激な円安など、大規模な金融緩和による「負の側面」もクローズアップされ、これ以上の緩和拡大には懸念が根強いためだ。

   目標を修正すれば日銀の本気度が疑われ、緩和拡大には副作用がつきまとう。丸2年を迎える異次元緩和は袋小路に入りつつあるようにも見える。

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