2024年 4月 25日 (木)

出発地と到着地が同じでも料金が違う こんなおかしな高速料金制度が変わる

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   国土交通省が、首都圏の高速道路料金を走行距離に連動した制度に一本化する方針を打ち出した。首都高速のような一定距離が定額の「均一料金」と、東名高速道などのように1キロメートルあたりの料金に走行距離を掛け合わせた「対距離料金」が混在して分かりづらい現状を改める。

   まず2016年度から、出発地と到着地が同じなら、どの路線を通っても料金が同じになることとし、その場合には最短距離の料金を適用する。さらに、2020年をめどに、曜日や時間帯によって遠回りをして混雑していないルートの料金を安くすることも検討している。

路線により、建設コストに応じて料金が決まる

高速道路の利用料金は分かりにくい!(画像はイメージ)
高速道路の利用料金は分かりにくい!(画像はイメージ)

   2015年1月28日の社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の国土幹線道路部会で、国交省の意向に沿って基本方針をまとめた。国交省はこれを受け、具体策を詰める。

   全国の高速道路料金は、路線により建設コストに応じて決まり、料金差があった。そこで2014年4月から、基本料金(1キロ当たりの料金)を三つに整理した。それまでの基本料金は、高速自動車国道が24.6円、本四高速(陸上部)が28.08円、広島岩国道路34円、関越道・東海北陸道・中央道・阪和道が39.36円、関門橋64.0円、東京・大阪などの大都市近郊区間の高速自動車国道が29.52円、海を渡る橋やトンネルは、伊勢湾岸道路108.1円、アクアライン179.28円、本四高速(海峡部)252.72円、本四高速(明石海峡)404.35円――というように10分類されていた。これを昨年の見直しで、普通高速道区間は24.6円、大都市近郊区間は現状維持の29.52円、海峡部等特別区間は108.1円に統一された。

各種割引が混在し、利用者には複雑で分かりにくい

   リーマン・ショック後の2008年10月に緊急経済対策で国が3兆円を投入して以降、高速料金は様々な割引が導入された。14年来の見直しは、この「後始末」という意味がある。2009年3月から生活対策として「休日上限1000円」を導入、東日本大震災後にこれを廃止した後も各種割引が混在し、利用者には複雑で分かりにくい料金体系になっていた。政策効果としても、社会資本整備審議会などで「割引が認識・実感されておらず効果の発現が不十分」「目的の異なる割引を並行して導入した結果、本来の効果が低減している」といった問題点が指摘されていた。

   そして、見直しを先送りされていたのが首都圏の料金というわけだ。

   実際、現状の料金は矛盾に満ちている。首都高の料金は普通車で、24キロまでは走行距離に応じて510~820円だが24キロ超は930円の定額料金。他方、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)や東名道は距離に応じた料金で、利用者は多少の渋滞を我慢しても料金が安い首都高速を使うケースが多い。また、東京外郭環状道路(外環道)は510円、中央道の高井戸-八王子間は620円で、どれだけ走っても同一料金――といった具合だ。外環道などが同一料金なのは、市街地のため入り口料金所は確保できたものの出口料金所が作れず、距離に応じて精算できないからだ。

相模原愛川から霞が関の場合、130円の差が

   こうした結果、同じインターから入って同じ出口から出ても、料金に違いが生じるケースがある。例えば、圏央道の相模原愛川(神奈川県)から都心の霞が関に向かう場合(ETC利用)、料金均一区間(八王子-高井戸)を含む中央道を通ると2200円、距離連動の東名道を経由すると2330円と130円の差があり、これが中央道渋滞の一因とされる。また東名道の厚木インター(神奈川県)から東北道の久喜インター(埼玉県)へは、圏央道・関越道・外環道を利用すると4700円、圏央道・中央道・首都高利用で3810円、東名道・首都高を経由すると3180円と大きく違う。

   今回見直すのは、こうした都心部に車を呼び込んで渋滞を激しくするような料金設定を改めるのが眼目。2016年度から距離に応じた料金に統一した上で、2020年をめどに、混雑に応じてルートごとに料金に差をつける制度を導入したい考えだ。都心の道路を高く、比較的すいている圏央道などを安くして、郊外の道路利用をさらに促そうという狙いだ。

将来的にはETCの義務化も検討

   さらに、自動料金収受システム(ETC)搭載車と情報をやりとりできる仕組みを普及させ、事故や渋滞などの情報をドライバーに送って迂回路を教えるほか、渋滞が起きやすい場所や時間を細かく把握し、時間別、区間別の割増料金などを機動的に運用することも視野に入れているという。

   また、将来的にはETCの義務化も検討する。現金払いを維持するには、人件費などETC車の5倍ものコストが必要だからだ。

   近畿圏も首都圏と同様、高速道が入り組んでいて、名神道や中国道などの距離連動制と近畿自動車道の均一の定額制が混在、ルートによって渋滞が生じていることから、近畿圏の料金体系の同一化も次の課題になる。

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