2024年 5月 6日 (月)

18歳少年、中学時代はいじめられていた 被害者が残虐な加害者になる例は珍しくない

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加害者の約7割が「自分もつらかった経験がある」と回答

   いじめられっ子がいじめっ子に転じ、非行に走ることはあるのだろうか。いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里さんは「決してめずらしいことではない」と話す。

   同団体が全国の小中学、高校生を対象にしたアンケート調査では、小学生の25%、中学生の16%、高校生の12%がいじめの被害者と加害者の両方を経験したことがあるとし、加害者の約7割が「自分もつらかった経験がある」と回答している。小森さんは「恥ずかしかったり、プライドがあったりして、実際にいじめられていた人はもっと多いのではないか」とみている。

   また、面談したある生徒は「もう2度と被害を受けたくないから、加害者となって生きていく」と話していた。進学などで人間関係が変わったり、体格が成長したりして、かつての被害者が今度は加害者側に回ることはめずらしくないそうだ。

   川崎の事件では、少年は新たに「上村さんが慕われていてムカついた」と供述している。小森さんは、

「いじめの背景にはねたみや嫉妬があることが多い。自分がいじめられた時は誰も守ってくれず孤独だったのに、上村さんを殴ると友人たちがかばって、謝罪させられた。少年がそれを妬み、恨んだ可能性はある」

と語る。

   その上で、友人らが正義感で行った行為に責任はないとし、周囲の大人たちの対応が誤っていたと指摘する。事件前には謝罪騒ぎで警察が出動するなど、周囲の多くが少年と上村さんのトラブルを把握していた。「暴力や非行に走っていた少年を『何をしているんだ』と怒るのではなく、『どうしたんだ』と背景に何があったのか、学校や周囲の大人が声をかけるべきだった」という。

「甘やかしているという人もいるかもしれないが、第一にしなければならないのは加害者の行為を止めること。暴力を振るう背景にあった孤独から、彼を解放することができていれば防げた事件だったかもしれない」
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