2024年 4月 28日 (日)

維新の党、分裂劇が泥沼化 最後は「おカネ」を巡る争い?

   維新の党の分裂劇の論点が、松野頼久代表ら執行部の「任期切れ」問題から政党交付金の分配問題に波及し、さらに泥沼ぶりを増してきた。離党して新党「おおさか維新の会」を立ち上げる大阪市の橋下徹市長は、執行部の正当性を批判。「大阪組」の大量除籍処分には「流石、朝鮮労働党日本支部だ」などと罵倒し、「大阪組」で独自に党大会を開いて維新の党を解散し、政党交付金を返納したい考えだ。

   対する「東京組」にあたる維新の党の柿沢未途前幹事長は、かつては橋下氏が代表選の先延ばしを主張していたとして、「恥知らずの嘘つき」と非難。政党交付金を「大阪組」が管理している実態を「配下の国会議員が通帳と印鑑をガメて大阪本部に立て籠もる『守銭奴』ぶり」などとこき下ろしている。

  • 橋下氏は維新の党を「解散」し、政党交付金を返還したい考えだ
    橋下氏は維新の党を「解散」し、政党交付金を返還したい考えだ
  • 橋下氏は維新の党を「解散」し、政党交付金を返還したい考えだ

橋下氏は「恥知らずの嘘つきになってしまいました」

   維新の党執行部は10月15日、橋下氏が主導する新党「おおさか維新の会」への参加を決めたとして12人の国会議員を含む165人を除籍処分にした。処分を受けた「大阪組」は除籍処分が無効だという立場だ。橋下氏はこの時点で維新の党を離党していたが、ツイッターで、

「維新の党は流石、朝鮮労働党日本支部だ。任期切れの代表と執行部が大阪維新の会の地方議員を除籍処分。そもそも彼らにそんな権限はない」

などと執行部を非難。これに対して柿沢氏は、

「昨日まで『円満に分党せよ、協議しろ』と求めていた相手に、要求が満たされないと分かると『実はあなたはもう党代表じゃありませんでした』と言い始めるとは、究極のご都合主義だ」

と「反撃」していた。

   10月17日深夜には小野次郎総務会長も「参戦」。フェイスブックに、

「維新の党執行部に対して連日、任期切れと執行部不存在を攻撃している人物が、実は代表任期の延長と代表選先延ばしを提案し執拗に断行を求めた張本人だった」

と書き込み、橋下氏が小野氏らに宛てて7月2日に送ったとするメールを公開した。その中で、橋下氏は、

「党員拡大に合わせて代表選日程を決めれば良いのです。代表任期が多少延びても党にデメリットなどありません」
「ダイレクトに言いますが、維新の党の代表の任期がいつになろうが、少々延びようが、国民には何の影響もありませんし、もちろん党にも影響はありません」

などと代表選の先送りを求めている。橋下氏自身が任期延長を「影響はありません」と発言しておきながら、後に「任期切れ」を理由に執行部を攻撃していることの矛盾を指摘した形だ。

   柿沢氏は10月18日未明に小野氏の書き込みを引用しながら、

「これを見れば分かる通り、今や橋下氏は、自らの都合で言った事を180度ひっくり返して、しかも過去の言動は知らんぷりを決め込む、恥知らずの嘘つきになってしまいました」

と改めて橋下氏を非難した。

まもなく約6億6000円が「大阪組」管理の口座に振り込まれる

   大阪組と執行部との綱引きは、政党交付金をめぐる争いでもある。総務省の発表によると、維新の党には15年だけで26億6500万円が支払われることになっている。振り込みは4回に分けて行われ、10月下旬には6億6000円が振り込まれる予定だ。大阪組と執行部は「分党」を協議してきたが決裂し、除籍処分に至ったという経緯がある。「分党」の場合、これまで維新の党が受け取っていた交付金は、議席数などに応じて2党で分け合うことになる。だが、大阪組が除籍になった以上、理屈としては交付金全額を執行部が受け取ることになる。ところが、振込先の口座を大阪組が管理しているため、このままでは執行部は1円も受け取ることができない。執行部は振込先を変更する方針だが、10月下旬の振り込み分には間に合わない見通しだ。当然、執行部は大阪組に口座の明け渡しを求めている。だが、橋下氏は、

「適法な要求には応じます。しかし、今の維新の党の代表や執行部を名乗る方々は、代表権限がもうありません」

と拒否。それどころか、党を解散して交付金を返納する考えだ。

「なんとか維新の党を潰して、少しでも多くの額を国民の皆様にお返しできるよう努めます」

   維新の党の規約によると、党員には国会議員や地方議員、首長やそれらの立候補予定者で構成する「特別党員」、それ以外の「一般党員」で構成されている。そのうち、特別党員が最高議決機関にあたる党大会の議決権を持っている。つまり、党大会では国会議員も地方議員も1票の重さは同じになっている。橋下氏のツイートによると、「大阪組」の議員は10月24日に臨時党大会を開いて解散の決議を目指す。「大阪組」が特別党員に占める割合は高いため、党大会が開かれれば解散が決議される公算が大きい。橋下氏は、こういった経緯について、

「政党交付金は税金です。不要になった政党を潰し、支払いを終えて残った政党交付金を国民の皆様にお返しする。本来の維新スピリットとはこういうことです。大阪維新の会の代表として、なんとか維新の党を潰して、少しでも多くの額を国民の皆様にお返しできるよう努めます。本当に申し訳ありませんでした」

などと理解を求めた。

   一方の柿沢氏は、この党大会を「なんちゃって党大会」だとして、

「配下の国会議員が通帳と印鑑をガメて大阪本部に立て籠もる『守銭奴』ぶりが報じられてしまったので、口とは裏腹の実態がバレて焦りがあるんだろうが、あなたはもう党員ですらないし、勝手に届出したら犯罪行為を構成しますよ」

と、大阪組を「守銭奴」と非難しながら、党解散の届け出は「犯罪行為を構成」するとけん制した。

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