2024年 4月 27日 (土)

【震災6年 ふるさとの今(3)福島県相馬市】
いまだに「試験操業」が続く漁業の街 風評被害をチャンスに変える

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都会の客にウケる「漁師話」

   着実に「相馬ファン」が増えている手ごたえを、菊地さんも管野さんも感じているようだ。管野さんはその理由のひとつが、菊地さんの「おもしろ話」にあると見る。漁の仕事は過酷だ。だから都会暮らしの人には想像もつかない事態が起きている。「あまりにも寝不足で、とれた魚を船の上で仕分けしている途中に思わずコックリ」、「フードをかぶっているのに、魚を狙う頭のいい海鳥が自分のフンを巧みに風に乗せて漁師の顔面を攻撃してくる」。厳しい現場の出来事のはずが、菊地さんのユーモアたっぷりな話しぶりに管野さんは大爆笑だ。これが都会から来た客にウケないわけがない。

   管野さんは、今のうちにこうした漁師話を聞けるだけ聞き取り、吸収しておきたいと考える。以前はホテルに泊まっている観光客に対して、地元の魅力を十分に伝えきれていなかったかもしれない。一方で本操業が再開すれば、多忙になる菊地さんら漁師から話を聞く時間がなくなる。相馬のファンが増え、観光客が泊まりに来たとき、今度は管野さんらが積極的に地元の素晴らしさを伝えていく番だ。こうしてリピーターを増やしていかねばならないと考える。

   この6年間、相馬でも震災で肉親を亡くしたり、原発事故で漁師や農家の中で大きな被害を受けたりした人は少なくない。管野さんも菊地さんも、当然こうした人の心情は理解している。そのうえで、少なくとも自分たち2人は悲壮感を持たない、メソメソするのはまっぴらで、ふるさとをよりよくする行動に時間も手間も惜しまない。地域を活性化する取り組みでも、自分たちが面白いと思えるから続けられるし、相馬に来た人にも楽しんでほしいというのが2人の考えの根底にある。いつまでも「被災地応援」にとどまっていられない。

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