2024年 5月 5日 (日)

「おいしく食べる」がダイエットの近道 太って中毒になる「危険な味」と「夢の味」(後編)

「うま味」が腸内細菌を増やし、食の好みを変える。

   なぜ、うま味成分をとると食欲を抑える効果があるのだろうか。メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)のスペシャリスト、慶應義塾大学の伊藤裕教授がこう説明した。

「腸の粘液はうま味成分のグルタミン酸で作られています。腸にとってはそれだけ大事な成分なのです。また、グルタミン酸は腸内細菌のエサになりますから、腸内細菌がどんどん増える。腸内細菌が少ないと『もっと食べ物がほしい、もっとくれ』となるわけだから、うま味成分をとると満腹感を得られやすいのです。うま味がダイエットにいいことは、もはや常識です」

   それ以外にも、うま味成分がいかに健康によいか、味覚研究の第一人者、東北大学の笹野高嗣教授がこう解説した。

「グルタミン酸は脳の神経伝達物質になりますから、とても重要です。イノシン酸とグアニル酸は核酸の1つで、細胞分裂を活発にしますから、体の成長や若返りに大きな影響を与えます」

   ところで、前編では「脂肪」や「糖分」の「危険な味」が依存症になることを紹介した。うま味を生かすと、危険な味の依存から脱出できるのだ。番組では沖縄のピン芸人、大屋あゆみ(32)に1週間、うま味が入った食事をとり続けてもらう実験を行なった。大屋は149センチ、73キロの超ポッチャリ体型だが、6年前は45キロのモデル並みのスリム体型だった。28キロも激太りした原因は大の焼肉好き、つまり「脂肪の味」中毒だったからだ。

   料理に昆布やカツオ節のダシをふんだんに使うことで人気のある沖縄第一ホテルの協力を得て、毎日3食、うま味のダシだけで調理した仕出し弁当を大屋に届けた。はたして「うま味」は大屋の食の好みを変えられるか?

   ご飯は白米ではなく玄米。玄米は白米の2倍多くグルタミン酸を含んでいる。野菜などのおかずもしょうゆや塩を使わず、カツオ節、昆布などのダシ味だけ。最初はボソボソとまずそうに食べていた大屋も、3日、4日目に入ると、「うん、おいしい」とうなずくように。そして7日目。体重を測ると、2.1キロ減っていた!

大屋「1週間で2キロも減るなんて...(と涙ぐむ)。薄味が好きになり、野菜なんか食べる気がしなかったのに、おいしく食べられるようになりました」
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