ベテラン俳優として幅広く活躍する堤真一さん(52)のある出演作が、ネット上でカルト的な人気を呼んでいることをご存じだろうか。それは、2014年から出演を続けているアクサ損害保険の自動車保険「アクサダイレクト」のCMだ。独特の味のあるこのCMシリーズが、2ちゃんねるの一部の板などで受け、最近ではロケ地が「特定」され、Googleマップに書き込まれるなど、不思議な反響を呼んでいる。アクサ損害保険に、こうしたネットでの人気ぶりについて尋ねてみた。「アクサダイレクトコーナー」の名前でGoogleマップに山あいを走る、見晴らしのいい道路。カーブの真ん中で、堤さんの車が白煙を上げて立ち往生している。なにやら事故を起こしてしまったようだ。「参ったな、こんなところで......」辺りには建物などもなく、他の車が通りがかる気配もない。「誰かー!!」助けを求める堤さんの声が、曇天に響き渡る――。これは2015年から放映された、アクサダイレクトのテレビCM「デジタルグリッド」編の一幕だ。直後に、堤さんはアクサダイレクトのサービスに助けられ、「頼れるね!」と太鼓判を押す。こうして文字にすると、いかにもな自動車保険のCMだ。しかし、ゆるやかなカーブなのに、なぜか自損事故を起こしてしまっているというシチュエーション、CGで描かれた巨大な「誰かー!!」の文字、そして堤さんの真に迫った演技が、どこか不思議と印象に残る。このCMに注目したのが、2ちゃんねるの「なんでも実況J(なんJ)」板の住民だ。2016年ごろから、なんJ板には関連するスレが頻繁に立つようになった。基本的には一発ネタで、堤さんや車に関する話題が振られ、直後にCMの事故シーンが貼られてオチる、というものだ。ネット人気を反映してか、YouTubeにアクサ損害保険が公開しているCM動画は再生数500万回近くに達するほどに。さらに、CMの撮影場所(静岡県伊豆市)も「特定」され、Googleマップには一般ユーザーによって、「事故現場」が「アクサダイレクトコーナー」という名前で登録されてしまった。このことが4月半ばにツイッターなどでも話題になり、「わいもアクサダイレクトコーナーでアクサダイレクトしたい」「ゴールデンウィークにでもアクサダイレクトコーナー見に行こうかなw」といった声が相次ぐなど、まさに「聖地」となった。担当者に話を聞いてみると...CMをオンエアしている、アクサ損害保険の担当者に2017年5月初旬、話を聞いてみた。こうしたネット上の反応は、「『すごいなー』と思いながら見てます(笑)」とのことで、「アクサダイレクトコーナー」についても、もちろん把握していた。堤さんは2014年からアクサ損害保険のテレビCMに登場している。起用の理由としては、「ネットで加入できる保険ということもあり、サービスに対するお客様の不安を払しょくするような、『信頼感』を体現できる方としてお願いしております」堤さん独特の力強い語り口も、その「信頼感」を構成する要素のひとつとのことで、この「声」もCMを印象的にしているのでは、と担当者は語る。「また(話題になっている)『デジタルグリッド』編など、もし事故に遭ってしまったらどうしよう、という不安感を表現した演出となっています。そういった意味で、皆さまにとって身近な、納得できる内容として、親近感を持っていただけているのかもしれません」一連のCMはおよそ年に1本のペースで新作が作られ、2017年1月から最新の「アクサダイレクトを選んだ日」編がオンエア中だ。なお、この最新版でも、やはり堤さんは温泉旅行中に事故を起こしてしまっている。
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