2024年 4月 26日 (金)

薬膳が直らない「肥満体質」を変える! 漢方で無理なくスリム&ビューティー

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【美と若さの新常識 漢方医学の神髄】(NHKBSプレミアム)2017年6月8日放送
究極の美は健康にあり 薬膳であなたの体質を改善する

   これまで何度ダイエットのために運動をしたり、食べたいものを我慢したりしただろうか。それでも続かなかったアナタ、頑張ったのにダメなのはアナタの体質がもともとダイエットに向かないのかもしれない。

   体質を変えれば、ダイエットができるばかりか、健康になれる。人間の体質の「虚と実」を見極める「漢方」と「薬膳」の力を借りてはいかが。

  • 杏仁豆腐のトッピングの「クコの実」がスゴイ
    杏仁豆腐のトッピングの「クコの実」がスゴイ
  • 杏仁豆腐のトッピングの「クコの実」がスゴイ

「冷え」体質の人にダイエットが難しい理由

   番組のゲスト、日本薬科大学学長の丁宗鐵(ていむねてつ)さんは、西洋医学の内科と東洋医学を合わせた総合的医院を開いている。丁さんが行う漢方医学の基本的な診察は、まず患者の状態を詳しく聞き取る「問診」。そして、舌の状態を見て体調を判断する「舌診」。さらに、お腹の周りをじっくり触り内臓の状態を確かめる「腹診」を行なう。患者の検査データをパソコン画面で見ることが多く、あまり体には触らない西洋医学とはだいぶ趣が違う。丁宗鐵さんは「ダイエットの前に自分の体質を知ることが最も大切だ」と強調する。

丁宗鐵さん「ダイエット法はパターンに分けられています。自分の体質がどれに当てはまるのかを、まず知ることが大事です。そうした上でダイエットを始めないと、単なるお金と時間の無駄使い。それに健康まで害してしまう。診察で見極めた、人間の体質を漢方医学では『証』(しょう)といいます。『証』をわかりやすく理解してもらうために2人の女性に実験を行なってみましょう」

   氷水が入ったたらいに、2人の女性が1分間足をつけ、冷えた状態を作った。一見、ダイエットと無関係に思われるカラダの「冷え」だが、この「冷え」がやせにくい体質の原因になる。次に氷水から足を出し、サーモグラフィーで体温の変化をみた。5分後の画像で比較すると、1人の足は明らかに体温が上がったのに、もう1人の足は冷えたまま。漢方では、体温が戻った人の体質を「実証」、戻りにくい人の体質を「虚証」と呼ぶ。

丁宗鐵さん「虚証の人はカラダ全体の代謝が悪く、手足にあまり血液を送らないから冷えやすい。実証の人はその逆。筋肉にも血液がいっぱいあるから代謝が高い。これが虚証と実証の違いで、虚証の人はダイエットが非常に難しいのです」

   実証の人の特徴は「体力に自信がある」「暑がり」「胃腸が丈夫」「顔色が良い」「食欲旺盛」などだ。一方、虚証の人は「疲れやすい」「寒がり」「食が細い」「声が小さい」「体力があまりない」などの特徴がある。

丁宗鐵さん「同じ肥満でも、実証と虚証の肥満は違います。実証の人は単なる食べ過ぎだから食べる量を少なくすればいい。虚証の肥満の人は代謝が悪いから、それほど食べていなくてもやせられない。そして、ちょっと多く食べると太って、どんどん脂肪が蓄積していく。だから、体質を変えないとダメなのです」

カラダを温める食材、冷やす食材をバランスよく

   こう聞くと、実証の人の方が虚証の人より健康的に思えるが、実は両者の中間の「中庸」(ちゅうよう)の人が一番健康的だという。漢方では何事もバランスが大事だ。

丁宗鐵さん「実証の人って、とても元気です。それが良くないのです。疲れを知らずに動き回り、徹夜もいとわない。だから疲れを感じる神経がちょっと鈍い。『実証の人は大病をしやすい』といわれています」

   それはともかく、虚証の人はどのように体質改善すればいいのか。48歳の女性、黒川さんは典型的な虚証タイプだ。20代の頃の体重は50キロ台だったが、子育てや仕事に追われた30代後半から増加し現在74キロ。毎日の食事は野菜が中心で、バランスにも気をつけ、食べる量も決して多くないが太ってしまう。しかも、冷え性がひどく、疲れやすいので運動ができない。番組では、薬膳研究家の谷口ももよさんの協力を得て、黒川さんに薬膳で体質改善に取り組んでもらうことにした。

谷口さん「薬膳では、その人の体質改善に合った食材を選ぶことが大切です。冷え性の黒川さんには、カラダを温め、代謝を促すショウガとネギは毎日欠かさず食べてもらいます。シソとアジもカラダを温める食材です。お弁当のご飯には、むくみを取る黒豆を入れます。スパイシーなカレーにも温熱性の鶏肉を使うといいでしょう...」

   黒川さんは、谷口さんに教わった薬膳の基本を取り入れ、毎日3食自分で料理した。そして4週間後、それまでどんなダイエットも成功しなかったのに、3.4キロの減量に成功した。薬膳を食生活に取り入れるポイントを、谷口さんはこう説明する。

谷口さん「薬膳は肉も魚もバランス良く食べることがとても大事で、特定の野菜だけを食べればいいということではありません。中庸が大事です。どちらかに自分の体質が偏っている場合、元に戻すような食べ物でバランスを整えるのです」

虚証の人が代謝を上げ、体質改善できるメニュー

   カラダを温める食材を「温熱性」、冷やす食材を「寒涼性」、中間の食材を「平性」と呼ぶ。主な食材は次の通りだ。

【温熱性】カボチャ、ニラ、ネギ、ニンニク、ショウガ、鶏肉、マグロ、紅茶など。
【寒涼性】ナス、トマト、キュウリ、モヤシ、昆布、バター、カニ、緑茶など。
【平性】ジャガイモ、ニンジン、ピーマン、黒豆、ハクサイ、牛肉、豚肉、イカ、ほうじ茶など。

   さて、ここで谷口さんが黒川さんに教えた、虚証の人が代謝を上げ、体質改善できるメニューの1つを紹介しよう。

   【五色の野菜あんかけ豆腐ハンバーグ】

(1)材料(4人分)=( )内は温=温熱性、平=平性、寒=寒涼性の食材。
鶏ひき肉200グラム(温・鶏肉は胃腸によく、カラダを温める)、卵1個(平)、豆腐半2丁(寒)、山芋100グラム(平)、ショウガのすりおろし小さじ1(温・カラダを温め、新陳代謝を促す)、塩小さじ半分、こしょう少々、片栗粉大さじ1、黒きくらげ5グラム(平・水分代謝アップ、血流をよくする)、ニンジン半本(平)、赤パプリカ1個(平)、ピーマン2個(平・血の巡りをよくする)、レンコン100グラム(平)、ネギ半本(温・カラダを温め、発汗作用を促す)/(あんかけ用)しょうゆ・酢・砂糖各大さじ4、ショウガのすりおろし大さじ2、片栗粉大さじ2(倍の分量の水で溶く)。

(2)つくりかた
1:豆腐の水気を切ったものと卵、片栗粉、鶏のひき肉をあわせ、塩こしょう、ショウガのすりおろしを入れてよく練り合わせ、そこに1センチ角に切った山芋を加え4等分してハンバーグの形に成型し、油を多めに引いたフライパンで両面こんがり焼く。
2:1を焼いている間に鍋に油大1ほど入れ、ニンジン、赤パプリカ、ピーマン、レンコンを1センチ角に切ったものを加えさっと炒める。そこに水で戻し1センチほどに切った黒きくらげも入れて、水400cc、ショウガのすりおろし、調味料を合わせて沸騰させ、味を調えたら水溶き片栗粉でとろみをつける。
3:皿に1の豆腐ハンバーグを載せ、その上に2の5色のあんかけをたっぷり載せてさらに白髪ネギをトッピングして完成。

(3)作り方のポイントは、あんかけ用の野菜はカラダを冷やすものを避け、彩りよくバランスを整える、代謝を上げるショウガは惜しみなく使うこと。

「ハトムギ」と「クコの実」の美肌効果がスゴイ

   さて番組では、いま漢方の世界で健康効果が注目されている食材を2つ紹介した。「ハトムギ」と「クコの実」だ。ともに漢方の生薬として使われてきた。最近、ハトムギに含まれるコイクセノライドなどの成分に美肌効果があることがわかり、化粧品の材料に使われている。コイクセノライドを発見、その効果を論文に発表した金沢大学の太田富久名誉教授はこう説明する。

   太田教授「老化によって肌のコラーゲンがなくなるとシワになります。皮膚には、線維芽細胞と呼ばれる細胞があって、コラーゲンを作るのですが、年をとると線維芽細胞が減ってしまうのです。ところが、ハトムギの成分を線維芽細胞に加える実験を行なったところ、48時間に線維芽細胞の数が1.7倍まで増えることが分かりました。ハトムギの成分が新しい細胞をどんどん作り出すのです。シミ・シワも全部ではないですが、かなり解消していく方向になり、美肌・美白の効果が現れます」

   実験に使ったハトムギエキスの量は、ハトムギ(殻つき)に換算すると16グラム程度。

   日常の食生活で食べる場合には、ハトムギを飯に混ぜると手軽に取ることができる。

   もう1つの「クコの実」は、杏仁豆腐のトッピングでおなじみの赤い実で、「ゴジベリー」とも呼ばれるといえば、ああアレねと納得する人が多いだろう。現在、紫外線から肌を守る効果があるとして、特に米国で大人気だという。

   番組では、資生堂の研究所が行なった実験映像を公開した。クコの実エキスを4週間飲んだ人と飲んでいない人の肌に紫外線を当て、肌の変化を調べた。肌の細胞に発生する活性酸素の量を特別な装置を使って比較した。活性酸素は紫外線やストレスなどによって体内に生まれ、老化を引き起こす原因になる。すると、事前にクコの実を食べていた人は、明らかに活性酸素の量が少なかった。紫外線のシミが出来る前に、強い体質を作るという発想は漢方が長年培ってきた予防医学の真骨頂だ。

   ハトムギやクコの実について、金沢大学の太田教授はこう解説する。

太田教授「ハトムギはもともと筋肉のこわばりを治す薬、クコの実は強壮作用によって元気になったり、肝臓や腎臓を良くしたりする薬として使われてきました。美肌の効果に注目し始めたのは最近なのです。民間的な使われ方の良さが、最新科学で分かってきているのです。ただし、クコの実は、アレルギーの人や妊婦は控えた方がいいでしょう。一般の人では1日の摂取量の目安はおよそ10グラムです」
MCのお笑い芸人・後藤輝基「ハトムギの美肌効果は、どれぐらいで出てくるのでしょうか」
太田教授「早い人で3週間ぐらいです。しっとりしてきますよ(笑い)」

   最後に丁宗鐵・日本薬科大学学長がこう語った。

丁宗鐵さん「両方とも、昔から漢方ではアンチエイジングの目的で使ってきました。だから、皮膚だけが良くなるわけではないのです。内臓などカラダの内側も若返る作用があります。それが一番ポイントですね。漢方の究極の美は健康にあり、です」
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