2024年 4月 25日 (木)

銀行カードローンへの「立ち入り検査」 金融庁の「真の狙い」は?

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   「30分でスピード手続き」「最短即日融資」「ウェブで手続き完結」などの利便性を謳い文句に、テレビCMなどで積極的に推進してきた銀行のカードローン。その実態に、メスが入る。

   金融庁は、過剰な貸し付けが問題視されている銀行のカードローンについて、メガバンクや地方銀行などに9月から立ち入り検査に入ると、2017年9月1日に発表した。融資審査などの実態を調べ、悪質なケースには行政処分も辞さないという。

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「配慮欠く広告宣伝」や「審査体制」「行員の評価項目」などを検査

   銀行にとってカードローンは、マイナス金利局面でも10%を超える金利収入が見込める魅力的な市場。資金運用による収益低下や、企業向け融資の貸出利ザヤが確保できない状況が続くなか、カードローンに走った。

   加えて、消費者金融に課せられている、利用者の借り入れを年収の3分の1までに制限する「総量規制」(「3割ルール」、2006年施行の改正貸金業法)が、銀行に適用されていないこともある。

   それらを背景に、銀行のカードローンの貸出残高は2017年3月末時点で5兆4377億円となり、最近の5年間で1.6倍に急伸。一方、貸金業者の貸出残高は2005年度末の17兆円超から、この10年で4兆円台(15年度末)にまで減った。

   ただ、銀行カードローンは消費者金融との「共存」の上に成立している。銀行は不特定多数の個人向け融資のノウハウを持っていないため、カードローンの審査は消費者金融が請け負い、同時に銀行は消費者金融に多額の保証料(手数料)を支払うことで、利用者が返済不能に陥った場合に銀行の損出額を消費者金融が保証する仕組みを整えている。

   最近は消費者金融もメガバンクの傘下にあるので、銀行本体は損しないうえ、グループ全体として儲けを維持できるというワケだ。

   金融庁は9月からの検査対象を明確には公表していないが、メガバンクや地方銀行のほか、損失を肩代わりしているグループ傘下の消費者金融(保証会社)などが含まれるとみられる。

   検査の内容は、配慮に欠けた広告宣伝がないか、過剰な貸し付けを防ぐ審査体制(返済能力をチェックする体制)があるか、行員の評価項目にカードローンの獲得を設けているか――などを調べる。

   また、利用者からも情報を集めるため、専用ホットラインを開設する。 麻生太郎・財務兼金融担当相は9月1日の記者会見で、「業務運営の実態を把握し、銀行カードローンの適正化を推進したい」と話した。

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