イシグロ氏受賞に「日本人として誇らしい」 一方で「日系でも英国人作家」と違和感も

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   カズオ・イシグロ氏(62)のノーベル文学賞受賞が発表された後、インターネット上「日本人として誇らしい」といった反応が相次いだ。

   一方で、「日系でも英国人作家だから...」と違和感を示す人も出ている。イシグロ氏は日系英国人で、渡英したのは5歳の時。日本のテレビ局のインタビューを受けた際も英語で話していた。

  • 小説『わたしを離さないで』は、日本でもTBSでドラマ化された(画像は早川書房の同作品表紙。Amazonから)
    小説『わたしを離さないで』は、日本でもTBSでドラマ化された(画像は早川書房の同作品表紙。Amazonから)

「少しでも日本に関係している人が受賞するのは誇らしい」

   スウェーデン・アカデミーは2017年10月5日、イシグロ氏のノーベル文学賞受賞を発表。理由として「卓越した感情の力を持つ小説で、世界とつながっているという我々の幻想的な感覚の深淵を明らかにした」(原文は英語。編集部訳)としている。

   日系英国人のイシグロ氏の受賞は、日本での反響も大きかった。ツイッターでは

「日本のDNAが受賞と、誇らしい」
「同じ日本人として誇りに思うなぁ」
「少しでも日本に関係している人が受賞するのは誇らしい」
「素晴らしいですね。日本人として誇らしいです」
「カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞、国籍は英国だけど同じ日本にルーツを持つものとして誇らしいなぁ」

と、「日本人として誇らしい」という旨の投稿が多く見つかる。5日夜のテレビ各局報道番組でも、街角のインタビューでは「日本人として誇り」という声を中心に放送されていた。

   だがこうした反応が出ると、今度は違和感を訴える声も出はじめた。

「『イシグロ氏が受賞したんだ。すごい人なんだなあ』って感想なら分かるけど...」

   イシグロ氏は1954年の長崎市生まれで、親の英国転勤にともない5歳で渡英。1982年に英国籍を取得した。1989年発表の『日の名残り』では、英国の文学賞「ブッカー賞」を受賞している。今回、「NEWS23」(TBS系)は10月5日、イシグロ氏が著した小説『わたしを離さないで』を綾瀬はるかさん主演で16年にテレビドラマ化した際の同氏へのインタビュー映像を放送した。質問にイシグロ氏は英語で答えている。

   こうした点から、ツイッターでは

「イシグロ氏ってイギリス人なんだから、日本の誇りとか言うのは違うだろ...」
「カズオ・イシグロがノーベル賞受賞したのがどうして『日本人として誇らしい』という話になるのか?」
「『イシグロ氏が受賞したんだ。すごい人なんだなあ』って感想なら分かるけど、『同じ日本人として誇らしい』となると『は?』って気分になる」
「カズオ・イシグロは日系ではあるけど、れっきとした英国人作家だからね...なんでもかんでも日本人で誇らしいとかの道具やめて」

といった声が徐々に増すことになった。これを受けてさらに「日本と少なからず縁のある作家がノーベル賞を受賞したってことを、『へぇ、すごい。ちょっと誇らしいね』と思うくらいは別におかしなことではないと思うんだが」と諫めるような投稿もみられる。

   イシグロ氏自身の日本に対する思いは、5日の受賞決定後に受けた報道陣の取材の中で垣間見える。この模様は「報道ステーション」(テレビ朝日系)などで中継された。

「私は英国育ちだが、物の見方、世界観、芸術的観点には日本が影響している。両親は日本人で、家で日本語を話していた。私は親の目を通して世界を見ていた。私の体の一部は日本人だと思っている」

   また、前出「NEWS23」では2011年のインタビュー映像が放送された。この中でイシグロ氏は生い立ちについて語っている。

「私という人間が、どの部分が日本から来て、どの部分が英国から来たか、分析するのは難しい。しかし、日本の要素が非常に重要で根源的なのは間違いない。5歳のときに日本を離れたが、大人になるまで、日本に戻ると思いながら育った。両親は日本的な価値観を持っていて、家の中で私を日本流の仕方で育てようとしていた。西洋的な育ち方ではなかった。そうした価値観の多くが私の一部となっている」
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