2024年 4月 24日 (水)

「辞めるべきは八角理事長」論相次ぐ 専門家も首かしげる「バランス欠く」処分

   元横綱・日馬富士の暴行問題で、貴乃花親方の「理事解任」が日本相撲協会の臨時評議員会で決議されたことで、協会トップの八角理事長の責任を問う声が出ている。

   評議会の池坊保子議長が言ったように「礼を欠いた」のが解任の一因となるならば、他の関係者の処分とのバランスを失しているのではないかという意見があがっているのだ。

  • 八角理事長(画像は八角部屋の公式サイトから)
    八角理事長(画像は八角部屋の公式サイトから)
  • 八角理事長(画像は八角部屋の公式サイトから)

「評議員会だって礼を欠いています」

   臨時理事会による2017年12月28日の貴乃花親方の理事解任決議を受け、理事選任・解任の権限をもつ臨時評議員会は2018年1月4日に全会一致で承認。2階級降格処分が決まった。

   池坊議長は同日の会見で、貴乃花親方が当時巡業部長でありながら巡業中に起きた暴行の協会への報告義務を怠ったことや、その後の危機管理委員会による聴取を拒否し続けたことを指摘。それが原因で「問題がここまで大きくなり、ここまで長引いている」と糾弾した。

   そして池坊議長は、貴乃花親方の対応を「理事の忠実義務に反していると同時に、明らかに『礼』に反している。特に上司であり先輩でもある八角理事長が何度電話してもまったく応答なく、折り返しの電話もないというのは著しく『礼』を欠いていたのではないか」と、「礼」の言葉を使って批判した。この説明が物議を醸すことになった。

   落語家の立川志らくさんは5日放送の「ひるおび!」(TBS系)で、「礼を欠いていると言うけれど、それを言うなら横綱白鵬は行司にクレームをつけて、あれだって見苦しい。日馬富士は犯罪したのだから解雇だろう。それから何ですか、八角理事長が電話したのだから出なさいと、そんなのは小言で済むことでしょう。それを理由に理事を辞めさせるのはおかしいですよ」と語気を強めた。さらに、

「評議員会だって礼を欠いています。7人のうち2人(編注:海老沢勝二・元NHK会長、千家尊祐・出雲大社宮司)欠席して5人で決めているんだから。これだけ大事になっているのだから7人全員で決めなさいよ」

と矛先を向け、「評議員会は世間の声をもっと聞いたほうがいい。世間と物凄くズレていることに気付いていない」と批判した。

「暴力事件とは別と池坊さんは言ったが別にしたらダメでしょ」

   貴乃花親方は暴行の被害者である貴ノ岩の師匠。一方、八角理事長や、現場に同席していた白鵬や鶴竜は、それぞれ程度は異なるがより軽い「報酬減額」処分で済んでいる。また日馬富士の師匠・伊勢ヶ浜親方はすでに自ら理事を辞任しており、結果的に貴乃花親方と同じ「役員待遇委員」への降格に収まった。この点、池坊議長は貴乃花親方の「巡業部長」としての責任を重く見たと説明し、「被害者・加害者と一緒にしないで」と理解を求めている。

   だが、志らくさんは5日にツイッターで「処罰の重さが加害者側より被害者側の方が重い事がおかしいと言っている。暴力事件とは別と池坊さんは言ったが別にしたらダメでしょ」と処分の不均衡を指摘した。また臨時評議員会直前の4日放送「ひるおび!」では、

「貴乃花親方が処分になるなら、八角理事長もお辞めになるべき」

と協会トップの責任に言及していた。

   弁護士で中央大学法科大学院教授の野村修也氏もツイッターで4日夕、八角理事長の責任を追及。

「貴乃花親方を理事から解任するのであれば、横綱が不祥事を起こしたことに関する監督責任と稚拙な不祥事対応の責任を追及し、八角理事長も理事から解任すべきではないか」

   その上で、「貴乃花親方が『著しく礼を欠いていた』と言うのであれば、評議委員会は著しくバランスを欠いていると思う」(原文ママ)と批判した。

   報道によると今回の臨時評議員会では、11月に親方が独自に事件についてまとめた「貴乃花文書」の一部が新たに明かされた。親方は事件直後に鳥取県警へ被害届を出したが、八角理事長をはじめ協会執行部4人は執拗に「内々に済む話だろう」と被害届の取り下げを要請してきたという。

   この点、5日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)で加藤浩次さんは、「協会に『被害届を取り下げろ』と言われたら、(貴乃花親方は)黙ると思う。貴ノ岩関が頭を割られたのに、『これは揉み消すぞ』と言っているように聞こえる」とし、聴取に応じなかった親方に理解を示した。さらに

「協会は警察から連絡があったのに、(九州)場所中だということで遅らせた。想像ですが、その間に揉み消して内々にできればいいと思っていた節があるのではないか」
「そこ(場所前に対応しなかったこと)は理事会にも非があると思ってしまう」

と責任について指摘した。

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