2024年 5月 4日 (土)

コクヨが年初来安値 文具事業が予想以上に苦戦

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   文具・オフィス家具大手、コクヨの株式が2018年4月下旬に急落し、低迷を脱せない状態が続いている。株価が上昇気流に乗る中で発表された2018年1~3月期連結決算の内容に対する失望売りが膨らんだ。

   柱の1つである文具(ステーショナリー)事業が多くの投資家にとって予想以上に苦戦しているとみられ、「ペーパーレス社会」の影響を受けたとも映ったようだ。ただ、主力のオフィス家具の「ファニチャー事業」は好調で、今後の業績次第で再上昇の余地はあるとの見方も出ている。

  • コクヨの株が年初来安値を記録 (画像はイメージ)
    コクヨの株が年初来安値を記録 (画像はイメージ)
  • コクヨの株が年初来安値を記録 (画像はイメージ)

文具は機能性の高い独自商品がウリだったが

   コクヨの株価は今年に入って堅調に推移していた。円高のもとでも業績が伸びる内需株の一角として物色されたためで、4月9日の取引時間中につけた直近の高値2244円は、年初来高値どころか約20年ぶりの高値だった。しかし、23日の取引終了後に発表された2018年1~3月期連結決算で投資家の姿勢が一変。24日の株価は一時、前日終値比13.4%も低い1794円と年初来安値を更新した。

   24日は前日の安値(2060円)を当日の高値(1922円)が下回る、いわゆるチャート図上で「窓をあける下落」でもあった。2000円前後の株価で138円分もの窓があいてしまうのはなかなか見られない現象だ。その後も多少持ち直してはいるが、4月23日までの勢いをとり戻すのは容易ではない。

   それでは、2018年1~3月期連結決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比1.9%減の881億円、営業利益は2.5%減の89億円、純利益は12.0%減の70億円と減収減益だった。ただ、純利益は前年同期の法人税に関連する特殊要因の反動のため減益幅が大きくなったもので、それを除くと売りまくられるほどの業績悪化ではないようにも見える。

   しかし、分野別にブレークダウンすると文具事業の売上高が前年同期比4.7%減の269億円、営業利益は12.0%減の29億円と振るわなかったことが分かる。文具事業において、一般的なファイルなどは価格競争が激しいが、ムラなく塗れて机や手が汚れないと好評のテープ式のり「ドットライナー」のような、機能性の高い独自商品を世に問うて稼いできたのが、近年のコクヨだった。株式市場もそこに期待して20年近くぶりの高値がついたのだったが、「もしやこれまでか」の疑念が生じてしまったわけだ。

「オフィス家具が想定以上に好調」

   コクヨの事業は文具、オフィス家具、通販・小売関連の3本柱。このうち、通販小売関連も2018年1~3月期は売上高が前年同期比1.6%減の303億円、営業利益は16.8%減の10億円と振るわなかった。ただ、最も規模の大きいオフィス家具は売上高が0.1%増の397億円、営業利益が11.7%増の66億円と好調だった。理由についてコクヨは「働き方改革」を事業機会ととらえて積極営業した、としている。

   大和証券は4月24日に出したリポートでコクヨについて「文具、通販・小売関連は想定以上に低調だが、オフィス家具は想定以上に好調」と指摘。すべての事業が悪いわけでもないし、3カ月分の決算に過ぎないため、今後の動向次第で再上昇する可能性は十分ありそうだ。

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