2019年 5月 22日 (水)

「園長先生の涙」放送し続ける必要はあるか 「テレビつけたくない」「止めてあげて」

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   大津市内の保育園児死亡事故で、記者会見した園長の号泣シーンをテレビ各局が流し続けていることに、ネット上で疑問や批判も出ている。

   「とても素直でいつも笑顔を絶やさない子たちでした。いつもね、保育室に入ったら『園長先生』って言って寄ってきてくれる本当にかわいい子でした」。亡くなった2人について聞かれると、女性園長は、ハンカチで顔を覆い、涙が止まらない。

  • 茂木健一郎氏もツイッターなどで苦言
    茂木健一郎氏もツイッターなどで苦言

「そんな人が悲しんでるところ映したいの?」

   「すみません、何も何も何も言えないです。すみません...」。園長は、言葉が続かず、その後もすすり泣きを続ける。そして、記者の質問に対し、「いつもと変わらずに出て行きました。いつもと変わっていません」と答えると、テーブルに突っ伏して号泣し――。

   2019年5月8日夕の会見は、各局のニュース番組が生中継して、その受け答えの様子をそのまま伝えた。

   すると、ツイッター上などでは、会見の痛ましい様子に違和感を訴える声が続出した。

   「保育園側は被害者、会見は不要」「園長先生が責められているように聞こえた」「被害者側の会見は辛くて見てられない」などと書き込まれ、「見てられなくてTV消した」との報告も相次いだ。「園長先生のことをもう少し記者は考えるべき」「テレビで放送する必要性が無い」とマスコミへの批判もくすぶっている。

   バッシングの嵐を気にしてか、翌9日の各ワイドショーでは、会見シーンを短くするなどの対応をする局もあった。しかし、号泣シーンを繰り返し流しており、ネット上では依然として「放送するの止めてあげて欲しい」「もうほんま嫌テレビつけたくない」「そんな人が悲しんでるところ映したいの?」といった声が続いている。

識者も報道姿勢に疑問の声

   国際政治学者の篠田英朗東京外大教授は5月9日、「交通事故被害者の尊厳をどう尊重するか」と題するブログを書き、メディアの姿勢に疑問を呈した。

   会見の質問や報道によって、「マスメディアによる被害者に対する二次災害」が起きていると説き、次のように指摘した。

「いくらなんでももう少しは自分たちが持っている社会的役割の意味について素面になって真剣に考えるべきだ。というか、常識を働かせて立ち止まることができるようになるべきだ。常識というのはつまり、人間の尊厳を尊重する姿勢を、何よりも優先させる、ということだ」

   この投稿は、「ブロゴス」にも転載され、9日夕現在で閲覧数ランキングのトップになっている。

   また、脳科学者の茂木健一郎氏は同日、「新聞やテレビは、読者や視聴者の成熟度をもう少し信じて仕事してほしい」とのタイトルのブログで苦言を呈した。

   茂木氏は、「事件やスキャンダルが起こったときの、テレビの取材や番組の構成も、視聴者の成熟度や考えはこんなものだろう、とたかをくくってつくっているように見える」と指摘。「そのようなレベル設定と、実際の社会の成熟度の分布がずれてきているのではないか」「成熟してものをよく考えて、常識をわきまえている人たちのためのメディアが欲しい」と訴えている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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