2024年 4月 19日 (金)

「流行語大賞」悲喜こもごも 記者が見た2019年表彰式

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   1年間の世相を反映した言葉に贈られる「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が、2019年12月2日に東京・帝国ホテルで開催され、年間大賞には「ONE TEAM」が選出された。

   同賞は1984年に第1回を実施し、以降、毎年12月初旬に発表、及び表彰を行っており、今年が第36回。単語やフレーズの選出元は「現代用語の基礎知識」(自由国民社)で、今年は同書がページ数を削減するなど大幅なリニューアルが行われたことが話題を集めた。また、選出は東京大学名誉教授の姜尚中氏、国語学者で杏林大学教授の金田一秀穂氏、作家の辛酸なめ子氏、歌人の俵万智氏、女優の室井滋氏、漫画家のやくみつる氏、「現代用語の基礎知識」編集長の大塚陽子氏による同賞の選考委員会が行った。

  • 2019年も「流行語大賞」が発表された
    2019年も「流行語大賞」が発表された
  • 2019年も「流行語大賞」が発表された

時折、ハプニングが起こるも...

   事前に発表されていた候補語30語の中から「トップテン」に選ばれたのは、「計画運休」「軽減税率」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「タピる」「#KuToo」「○○ペイ」「免許返納」「闇営業」「令和」「ONE TEAM」。また、2019年は2年ぶりに選考委員特別賞が設けられ、イチロー選手(当時)が3月21日の引退会見で発した「後悔などあろうはずがありません」が選出された。

   会場では例年通り、受賞者が登壇してスピーチを行い、記念品の盾を選考委員から授与されるという方式で進行。16時40分に始まった授賞式では、司会者の宮本隆治アナウンサーが登壇し、選考委員を紹介。そして、16時55分にはいよいよトップテンの発表が始まった。

   授賞式は基本的に滞りなく進行したが、時折、ハプニングとでもいえる事態が発生。2番目に発表された「軽減税率」を受賞した、スーパーマーケットを運営するアキダイ(東京都練馬区)代表取締役社長の秋葉弘道氏は、税率変化への対応のために多くの苦労があり、「軽減税率」という言葉に対してはネガティブな思いがあったしつつ、「今日の受賞でポジティブな印象の言葉に変わりました」とニッコリ。その後も言葉を続けようとしたが、スピーチの内容を緊張のあまりド忘れしてしまったのか、しばし絶句したのちスマホを見返すワンシーンもあったが、「庶民に関連した言葉が選出されて良かった。流行語大賞が夢を与えてくれた。ありがとうございました」とスピーチを締めくくった。

「受賞者はイチローさんですが...」

   また、10番目に発表された「ONE TEAM」を受賞した、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会会長の森重隆氏は、「本来ならば監督かキャプテンが来るべきですが」と述べた後、感極まったのか言葉に詰まり気味に。試合を開催した都市を訪問した際のエピソードを明かしたのち、「本当にありがとうございました」と涙声でスピーチを締めくくった。

   トップテンの発表が終わると、2年ぶりに選出された「選考委員特別賞」として、「後悔などあろうはずがありません」が紹介されたが、発表の際、宮本アナが「受賞者はイチローさんですが......本日はご欠席です」と若干ため気味に伝えると、会場内では観客から笑いが漏れた。

   そして、17時38分、年間大賞が「ONE TEAM」であることが発表され、森会長は目を潤ませつつ再び壇上へ。年間大賞の盾を授与されると、「年間大賞を授与されて大変感動しました。こんなに感動できるなら一生に一度と言わずもう1度W杯をやりたい」とニッコリ。宮本アナから、「ラグビーはなぜこんなに話題になるのか?」と尋ねられると、森会長は「試合の後の選手たちの清々しさが、観客の皆様に伝わるからではないか」と笑顔で返した。

やくみつる「ややもすると、萎縮しそうな1年だったが...」

   表彰式が終わると、会場では立食パーティーとともに、各選考委員に対する「ぶら下がり会見」が行われた。J-CASTニュース編集部が参加したのは、某テレビ局のインタビュアーを中心とする、やくみつる氏に対する会見。「ONE TEAM」は当初から年間大賞の雰囲気があったとするやく氏は、ラグビー関連の言葉について、「ONE TEAM/4年に1度じゃない/にわかファン」といった複合方式での同時受賞が検討されていたことを明かしつつ、「ややもすると萎縮しそうな1年だったが、ラグビーのおかげで明るくなった」と講評を述べた。

   また、2019年は選考元である「現代用語の基礎知識」が大幅リニューアルされたが、そのことについての感想を記者が尋ねてみると、やく氏は、

「昨年までは辞書のような大きさだったが、近年は『辞書を引く』という行為自体が少なくなっている。一方、今年はページ数を大幅に減らしたとのことで、通し読みしやすくなったと思います。『1年を通覧する』という意味では良いのではないか」

と回答。また、もし改善点があるならば? との記者からの質問には、

「ニッチな言葉やコアな言葉が削られたようですね。ちなみに、私は先日、イラストを描くために『業務用シュレッダー』という言葉を調べる機会がありました。来年はコアな言葉も掲載できればより良くなるのではないか」

との考えを示した。

   また、会場内でJ-CASTニュース編集部は、昨年まで選考委員を務めた、「現代用語の基礎知識」元編集長の清水均氏に遭遇。今回の授賞式について感想を聞いてみると、清水氏は、招待客として会場入りするのはこれが初めてとしつつ、「観客として見るのもそれなりに面白いが、やはり、主催者側として会場に入ったほうが緊張感があってより楽しかった」と昨年までを回顧した。

   ぶら下がり会見や来客らの懇談が続く中、18時40分になると、会場内では授賞式終了のアナウンスが。照明が暗めになる中、来客らは続々と会場を後にしたのだった。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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