2024年 4月 27日 (土)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「国民全員にPCR検査」を批判する理由 誤診断ゼロはあり得ない

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リスクを定量的に把握する

   韓国でも似た事情で、医療崩壊が起きている。日本のテレビでは、韓国を持ち上げていた局もあったが、いまやあまり報じなくなっている。

   PCR検査の話を例えて言えば、宝くじ1、2等の確率と感染者になる確率は大差ないが、宝くじ購入者の3割に1、2等の誤当選をやったらパニックになるだろう。PCR検査を全国民にと言う人はそのくらい無責任な話だ。

   筆者は、国民全員検査論を聞いたときに、原発即時廃止論や財政破綻論を即座に連想した。何を言っているのかと思われるが、それは以下の通りだ。これらは、これらは原発リスクや破綻リスクは「ゼロではない」を「大きい」と誤変換したものだ。ひとたびリスクが「大きい」と思い込むと、即原発廃止、即増税と条件反射になる。

   国民全員検査論は、検査の誤判断のリスクを「ゼロ」と思い込んでいるから、検査すべきとなる。国民全員検査論も、原発即時廃止論や財政破綻論も、ともにリスクを定量的に把握できず、「ゼロ」と「大きい」の定性的な理解しかできない人の論だ。検査の誤判断のリスクを定量的に「3~5割」と理解できれば、国民全員検査論にはならないはずだ。

   冒頭の孫正義氏はおそらく善意なのだろう。であったら、簡易PCRよりも、100億円をワクチン、特効薬開発に寄付するほうがより社会のためになるだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「韓国、ウソの代償」(扶桑社)、「ファクトに基づき、普遍を見出す 世界の正しい捉え方」(KADOKAWA)など。


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