2021年 1月 28日 (木)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「シアトル占拠」に市長「お祭りみたい」、大統領は「制圧せよ」

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民主党市長「この国は抗議することで生まれた」

   CNNニュースでは、アンカーのクリス・クオモ氏が、何が起きているのか、どう報道してよいのか、戸惑いを感じている様子だった。

   取材を受けたダーカン市長は、「たいしたことはない」という感じで、コロナに感染していたクオモ氏を気遣う余裕を見せたあとで、「街をコントロールできていないように見えるのですが」とのクオモ氏の問いに、こう答えた。

「(占拠されたエリアは)ブロックパーティ(ストリートで行われるコミュニティのお祭り)みたいな雰囲気ですよ。ここはよくブロックパーティが開かれる辺りなんです。市民の安全を脅かすようなことは起きていません」

   CNNやABCの報道では、無料で食べ物が配られたり、映画を見たり、と穏やかな様子も伝えられている。

   クオモ氏がためらった様子で、「ブロックパーティが市庁舎や警察を占拠・破壊することはないはずですが、あなたにこれをコントロールできると思いますか」と問いかけた。

   これに対し、ダーカン市長は、「はい。このところずっと続いていた警察とデモ隊の対立を和らげたかったんです。全国民がフロイド氏の殺害を目の当たりにし、それが火をつけました。この国には制度的人種差別(systemic racism)があり、それを解体しなければなりません」と答えた。

   クオモ氏が「トランプや右派は、『左派、ラディカル、アナキストはあなたの仲間だから、自由にやらせている。占拠者のなかに黒人はほとんどいないじゃないか』と言っていますが」と問いかけると、市長はこう答えた。

「この国は抗議することで生まれたのです。集会を持ち、抗議し、政府がひどい時にはそれに立ち向かう。それが憲法で守られた最も大事な権利なのです。その権利と市民の安全を守るために、市長として最善を尽くす。両立するのか。両立させなければならないのです」

   トランプ大統領が、「(シアトルの問題は)簡単に解決できる。制圧せよ。(暴動が起きて街が荒れた)ニューヨークのようにさせるわけにはいかない。命を救うために『思いやりを持って制圧』するんだ」と主張していることに対して、こう厳しく非難した。

「コロナと制度的人種差別という危機に直面している私たちには、この国をまとめ、癒してくれる大統領が必要なのです。なぜ市民が街に出て抗議しているのか、トランプ氏には理解できないのです。軍派遣は憲法違反です」

   クオモ氏は、「コロナということで言えば今、(人が押し寄せている)シアトルで起きていることも、助けにはなりませんが。シアトルの今の状況がどのくらい続くと思いますか」と問いかけたが、ダーカン市長ははっきりと答えなかった。

   ワシントン州の南に位置するオレゴン州のポートランドでも今、シアトルと同様の動きが見られ始めている。(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

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