2024年 4月 27日 (土)

「#山万20時間耐久」で話題の「ユーカリが丘」 持続可能な「街づくり」続け半世紀、そのユニークな取り組み

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   2020年9月7日にツイッターで「山万20時間耐久」でがトレンドに上がり、にわかに注目を集めたのが千葉県佐倉市の山万ユーカリが丘線だ(「#山万20時間耐久」小さな環状線にひたすら乗り続け... ラジオ・SNS・会社まで動かした、ツイッターユーザーの「挑戦」)。「不動産会社が作った鉄道」ということで珍しい同線であるが、沿線のユーカリが丘もまた、山万によるユニークな街づくりが行われたニュータウンである。

   半世紀近く、山万という一企業が発展させてきた街は無秩序な開発とは一線を画した環境が整っている。

  • ユニークなユーカリが丘線だが、れっきとした鉄道で山万が整備した街づくりのインフラの一つでもある(Mitts9750さん撮影、Wikimedia Commonsより)
    ユニークなユーカリが丘線だが、れっきとした鉄道で山万が整備した街づくりのインフラの一つでもある(Mitts9750さん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • ユニークなユーカリが丘線だが、れっきとした鉄道で山万が整備した街づくりのインフラの一つでもある(Mitts9750さん撮影、Wikimedia Commonsより)

あえて入居戸数を絞り、持続可能な開発

   ユーカリが丘の開発が始まったのが1971年、当時の地名は井野や小竹という名で、学校の名前に残っている。もとは関西の繊維問屋であった山万は1965年に不動産業に進出、横須賀市の「湘南ハイランド」で住宅の販売を始めていたのに次いで2つ目の土地開発になる。

   ユーカリが丘の特徴はこの1971年以降一貫して山万が開発した「持続可能型」のニュータウンであることだ。ニュータウンは人口の増加に応じて住宅・マンションを分譲する「分譲撤退型」がメジャーな開発手法であったが、ユーカリが丘は「持続可能型」であることを山万はアピールしている(山万は「成長管理型」と命名している)。一度に土地を開発し尽くして街づくりを行うのではなく、分譲戸数を制限して計画的に住民が入居する手法だ。山万は1年あたりの分譲戸数を意図的に絞り、余裕ある街づくりを進めた。

   分譲撤退型は一気に開発が進むものの年月を経ると住民の高齢化も進み、複数のデベロッパーの参入で無秩序な開発となる可能性がある。1960年代から先行して開発が進んだニュータウンには既に高齢化・老朽化に悩むところも出ている。

   2017年時点の人口は約1万8000人。これは誕生以来、着実に増え続けての数字だ(開発着手時の計画人口は約245ヘクタールの土地に3万人)。過密にならない街づくりが継続している。2020年現在のユーカリが丘には、玄関口のユーカリが丘駅前にタワーマンション・ショッピングモール・映画館・ホテルが立ち並び、緑地が残るエリアに介護施設を建設、ユーカリが丘線が走るニュータウン主要部は戸建が中心の住宅地となっている。これらの諸施設もほぼすべて山万が整備したものだ。

   新規分譲で現役世代が流入しつつも、従前から暮らす住民にはライフスタイルの変化に合わせて「住み替え」としてニュータウン内の別の物件に引っ越し、元の物件をリノベーションして新しい住民が入居するサイクルを山万はサポートしている。「ゆりかごから墓場まで」を山万という一企業が用意してしまった稀有なニュータウンだ。街づくりの成功例として言及されることも少なくなく、2018年にグッドデザイン賞を受賞した際には「ライフサイクルを見据えた街づくりの先進事例」と評価された。

   「ユーカリが丘」の由来は山万が当初「自然と都市機能が調和した21世紀の新環境都市」を目指し、空気清浄効果を持つユーカリを象徴として植樹したことにある。ユーカリが丘線の車両の愛称「こあら号」もユーカリに由来しているというわけだ。街のマスコットもコアラをモデルにした「こあらファミリー」で、至るところで使われている。

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