2024年 3月 19日 (火)

アマビエ、これで「みんなが使える」ように... 商標出願「拒絶」確定へ、立役者となった社長の思い

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   新型コロナウイルスの終息祈願としてイラストなどが流行している妖怪「アマビエ」について、製菓会社「お菓子のさかい」(福島県石川郡石川町)の商標出願が「登録できない」と判断されていたことが分かった。特許庁によると、アマビエをめぐる商標登録の可否判断が示されたのは初めてとみられるという。

   お菓子のさかいの酒井秀樹社長は2020年10月23日、J-CASTニュースの取材に「今回の判断で弊社も、他の製菓会社さんも、今までどおりにアマビエを使えるだろうと思います」と話している。同社は7月の取材時、商標出願はアマビエを用いた商品販売が継続できるようにするためだとし、登録されたとしてもアマビエの商標権を独占するつもりはない考えを明かしていた。

  • 『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
    『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
  • 「お菓子のさかい」の商標出願に対して示された特許庁の拒絶理由通知書の冒頭(特許情報プラットフォームに公開されている文書より)
    「お菓子のさかい」の商標出願に対して示された特許庁の拒絶理由通知書の冒頭(特許情報プラットフォームに公開されている文書より)
  • 『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
  • 「お菓子のさかい」の商標出願に対して示された特許庁の拒絶理由通知書の冒頭(特許情報プラットフォームに公開されている文書より)

「『新型コロナウイルス感染拡大の終息祈願の象徴』を表したものと認識するにとどまる」

   お菓子のさかいは4月10日付で「アマビエ」の文字商標を出願していた。指定商品・役務の区分は、第30類の「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)、パン」。同社は当時すでに、主力商品のブッセやかりんとう饅頭などに、アマビエをモチーフにした焼き印やイラストをつけて販売している。

   この出願に対し、特許庁による9月14日付の「拒絶理由通知書」が9月23日、特許・意匠・商標などのデータベース「特許情報プラットフォーム」(J-PlatPat。以下JPP)に公開された。「この商標登録出願については、商標登録をすることができない次の理由があります」として、商標法に基づき次のように理由を通知している。

   まずアマビエそのものについて、「江戸時代に肥後国(現在の熊本県)の海に現れて疫病を予言し、病気が流行した際には自身の姿を描き写して人々に見せるよう告げて姿を消したと伝えられている妖怪の名前であり、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の終息祈願のために、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上にこれを描いた図などを投稿する人が続出するなどとして、話題となったものです」とし、現にこうした説明がされている新聞報道の事例を示した。

   また、新型コロナ感染拡大防止策の1つとして、厚生労働省がアマビエを描いた「啓発用アイコン」をウェブサイト上で公開したことも紹介。「『アマビエ』の文字やこれを描いた図は広く一般に知られるようになるとともに、新型コロナウイルス感染拡大の終息祈願の象徴として広く使用されているものといえます」との認識を示している。

   出願の指定商品である菓子の業界でも、「多数の業者によって『アマビエ』の文字やこれを描いた図が、商品に使用されている実情があります」として、アマビエを用いた実際の菓子などの販売を伝えた10本の新聞報道も添えた。

   その上で「そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『新型コロナウイルス感染拡大の終息祈願の象徴』を表したものと認識するにとどまるというのが相当ですから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認めます」と説明。

   商標法第3条第1項「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる」の第6号「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」に該当するとして、登録できないという判断を示した。

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